2012年11月9日金曜日

ブログの統合

以前より、アメーバで書いているブログへ統合致します。
http://ameblo.jp/platinumbed

こちらの方を、ご覧下さい。


単に障害年金だけでなく、各種勉強会、その他、様々な事を書いています。



熊本の社労士  松永社会保険労務士事務所

2012年11月6日火曜日

第74回 障害年金の請求・手続き先

障害年金は、その請求する障害の原因である病気・ケガで
最初に医療機関を受診した日(初診日)に加入していた年金制度により
障害基礎年金(単独)か、障害厚生年金・障害共済年金の3つに分かれ、
請求先や提出書類が異なる。
 
このうち、共済年金については所属(していた)共済に問い合わせをして
必要な書類を送ってもらって、記入したりその他必要な証明書類を集め、
共済の方に送り返せばいい。
 
厚生年金の場合には、原則どこの年金事務所に行っても何ら問題ない。
つまり、勤め先である事業所の管轄の年金事務所でなくてはいけない
ということではない。何故、こういう事を書くかと言えば、以前居住地から
かなり離れた場所にある年金事務所に手続きに行かれた方が、事業所
管轄の所でないとダメだと思われて、わざわざ行かれていたからだ。
 
 
但し、住所の変更だとか、郵便で請求書等を送る場合には
自分が住んでいる地域の管轄の年金事務所になる。
 
問題は、障害基礎年金(国民年金)の請求・提出先である。
原則は市区町村役場となっているが、これもどこの年金事務所でもよい。
むしろ、年金事務所へ提出されることを私はお勧めしている。
その理由は、市区町村役場の窓口職員はあまり障害年金に詳しくないからで
実は共済の場合も、詳しくない方が年金給付の担当であれば
共済の場合、電話や郵送によりやり取りを行なうので、大変なことがある。
 
それには理由があって、年金事務所でさえ障害年金の相談・手続きは
全相談・手続きの約2割程度であり、老齢年金や遺族年金に比べて
少ないので、どうしても慣れていないと適正な対応が出来ないのである。
 
また年金事務所と違って、何ら仕切りもない窓口で
病気やケガのことを話すことも、プライバシーを考えるとお勧めできない。
何故? 市区町村が原則として障害基礎年金の請求・手続き先となっているのか? であるが、
これは国民年金を取り扱っているためで、簡単に言えば利便性である。
年金事務所の設置数は少ないために
国民年金関係は市区町村でも処理できるよう、国が事務委託している。
 
 
確かに人によっては、お近くの年金事務所まで遠くて不便なのかもしれないが
障害年金の請求に関しては、市区町村役場は上記の理由から避けた方がいい。
とても、お勧めできるような対応をしていないのが現状。
 
 
中には、決して少し話を聞いただけで断定等出来ないのに
先入観や間違った認識により、
「その障害の状態では障害年金はもらえない」と言われる人さえいる。
 
そこで、障害共済年金は共済に,障害基礎年金・障害厚生年金は年金事務所に
請求・手続きをされて下さい。
熊本で、障害年金の相談・請求代行
松永社会保険労務士事務所

2012年11月5日月曜日

第73回 障害年金の請求法と診断書の必要枚数

今回は障害年金の請求法とそれに応じた診断書の必要枚数等です。
 
まず、原則初診日から1年6ヶ月時点での請求を行なう障害認定日請求
呼ばれる請求では、障害認定日以降3ヵ月以内の状態を記した診断書のみで
支給が決まれば、障害認定日のある月の翌月分からの支給となります。
 
次に障害認定日から1年以上経過した場合には、上記の障害認定日以降
3ヵ月以内の診断書と請求(窓口提出)時点から3ヵ月以前の診断書の
2通が必要で、支給が決まれば障害認定日のある月の翌月分からの支給、
但し、過去5年間までしか時効の関係で遡れないので、最大5年前時点からの
支給ということになります。この場合、障害認定日以降3ヵ月以内の診断書が
カルテが廃棄されてない等で作成出来ない場合には、次の事後重症での
請求をせざろう得なくなります。
 
そして事後重症と呼ばれる、障害認定日時点で障害状態が障害等級に
該当しない程度に軽かった場合、(実際には障害認定日時点の診断書が
提出出来ないような場合も含まれます。)請求時点から3ヵ月以前の診断書
1通が必要で、支給が決まれば請求した日のある月の翌月分から支給されます。
 
最後に、はじめて2級での請求、という少し珍しいパターンの請求では、
前の障害と後の障害、各々請求時点から3ヵ月以前の診断書、つまり2通
必要になり、支給が決まれば請求した日のある月の翌月分からの支給です。
 
診断書には健康保険の適用がありませんので、5千円から2万円と
各医療機関の定めによって違いますが、書類作成にこういうお金を使うと
やっぱり勿体ないので、障害年金の請求する場合にはどの請求パターンで
自分が障害年金を請求するのか? どの請求ならば出来るのか?
等々についても検討しなければなりません。
 
個人的には、遡って障害年金をもらうには様々な条件を満たしておく必要があり
遡っての請求をする場合には、よく検討をしてもらいたいと思います。
可能性が皆無にかかわらず、遡求請求を行なうと必要ない手間や出費がかかり
請求される方の負担が増すからなのですが、請求する際に不明な点等が
ありましたら、我々社会保険労務士や年金事務所にご相談下さい。

 
熊本で、障害年金の相談・請求代行
松永社会保険労務士事務所

2012年11月1日木曜日

第72回 請求事由確認書について

障害年金の請求をする際に、さかのぼって請求する
いわゆる、遡求請求の場合には診断書を2通
原則、初診日から1年6ヶ月時点のものと現在のものを
窓口にその他、請求に必要な書類とともに提出します。


その時に、障害給付請求事由確認書を提出するように言われます。
この書類は、初診日から1年6ヶ月時点での状態が障害等級に該当しない場合に
現在の状態で、事後に症状が悪化したという事後重症の請求をしますという確認書です。


これは初診日から1年6ヶ月時点で通らなかったら、同時に事後重症の請求を行なうという
確認書であって、これを提出することによって、審査が不利になる事はありませんし
初診日から1年6ヶ月時点で認められないという決定が出たとしても、
それに対する不服の申立てができますので、安心して提出して下さい。




熊本で、障害年金の相談・請求代行
松永社会保険労務士事務所
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2012年10月31日水曜日

第71回 申立書の自己チェック項目

障害厚生年金の請求では、病歴・就労状況等申立書
障害基礎年金の請求では、病歴状況等申立書提出しますが
両者は裏面の記載欄が異なります。
逆に言えば、表面の病歴に関しては同じような記載をしなければなりません。
それは発病から現在に至るまでの症状や医療機関での受診状況等を書いて
審査側に今までの経緯が分かるようにするためです。
 
発病から、というのは相当因果関係がある症状からで
この部分の記載がない申立書は不備書類になります。
また、医療機関に受診していない期間があるにも関わらず
その期間についての記載が全くないと不備書類扱いです。
 
申立書は診断書・請求書等と整合性がなくてはならず
複数の傷病で請求する場合には、傷病ごとに作成し
傷病ごとの発病から現在までの経緯が分かるようになっていなければなりません。
 
医療機関の受診状況欄には、入院・外来の区別や治療の経過、自覚症状等を
記入しますが、ここに自分のその時の症状を細かく書かれている方がいますが
医療機関の受診状況とその時の症状は簡潔に審査側に分かるように書きます。
細かい文字で詳細に書く必要はなく、要点が審査側に伝わればいいので
請求する傷病によっては4行程度でも何ら問題ありません。
受診していない期間がある場合には、その期間の症状と
何故、その期間受診していないのか、その理由が必要です。
受診していない期間の記載は、傷病の状態をみますので
記載の仕方によっては、初診日が別の日ではないかと疑われたりします。
また、申立書は請求者が自分で申し立てるものなので
何を書こうが自由ですが、診断書等との整合性が求められ、
明らかに診断書とかけ離れている事が分かるように
症状を重く書いても、ダメです。信ぴょう性に欠けます。
逆に本当に診断書よりも症状が重いのであれば、
診断書の記載について、主治医に話して診断書の方を訂正してもらって下さい。
あくまで、主となるのは診断書であって
申立書は従であり、診断書で見えない部分を
申立書でカバーするという位置づけになっていることを
十分、ご理解のうえ作成して下さい。
熊本で、障害年金の相談・請求代行
松永社会保険労務士事務所

2012年10月30日火曜日

第70回 受診状況等証明書のチェック項目

障害年金を請求する際に、現在かかっている医療機関と
初診日時点の医療機関が異なる場合に受診状況等証明書の添付が必要になります。

各書類,各記入欄には各々意味がありますので、今回は受診状況等証明書についてみます。

まず記入欄の中で、年月日を記入する個所ですが
発病年月日については、理想は●年●月●日ですが、正確な日付が不明な場合
●月までは極力、記載が必要です。但し、場合によって不明という事もあります。
先天性の病気によるものであれば、生年月日がくることになります。

次に初診年月日・終診年月日ですが、後者はさほど重要でありませんが
別の病院に転院もしくは、この書類を作成する医療機関での受診は
終わっているわけですから、必ず正確な日付がつくでしょう

重要な箇所は初診年月日欄になりますが、ここで注意すべきは
その記入欄の上にある発病から初診までの経過欄との整合性です。
この書類での初診年月日とは、一般にいう初診日と障害年金上の初診日の
両方を兼ねているので、発病から初診までの経過欄に
前に医療機関への受診の記載があれば、障害年金上の初診日年月日は
その医療機関ではなく、前にかかっていた医療機関という可能性が出てきます。

下の方の年月日については、書類の作成年月日です。
私が障害年金の請求を早めに勧めるのは、この書類の入手が
後になればなるほど、困難になるためで
今は症状が軽い方でも、取りあえずこの書類だけは今入手出来れば、
作成してもらっておくよう、お伝えしています。
原本さえあれば、その医療機関でもしカルテを廃棄されても、また作成してもらえますからね。

次に傷病名ですが、ここでは請求する傷病名と何らかの因果関係のある傷病名が
くることになりますが、確定診断でなくても、誤診で別傷病名がきても大丈夫です。
但し、あくまで因果関係がある傷病名がついているか否かについては確認して下さい。

書類の下の方の、この書類の記載根拠
・ 診療禄からの記載  ・ 当時の受診受付簿・入院記録からの記載
・ その他(   )からの記載  ・ 本人の申立てによるもの  について
複数の個所に印がつけてある場合、どの記載部分が上記のどの記載根拠なのか?
について明確に書かれていなければなりません。

最後に健康診断等での指摘による受診であれば、その際の結果を示す
検査成績票等の写しの添付を求められることがあるので、可能な限り添付します。


以上、この初診日を証明する受診状況等証明書でもこれだけのチェック項目がありますので、
医師に書いてもらって、そのまま提出するのでなく自分で確認する必要があり
時に訂正してもらいます。

ただ・・・・ その他に・・・・ 問題が・・・・

これは診断書にも言えることですが、発病からの経過欄等
医師が文章で記入する欄への医師の記載があまりに達筆過ぎてなんと書いているのか
全く判読できないことがあります。う~む、これについては何とも言えません。

ついでに、診断書でもこの書類でも明らかに主治医の文字ではない場合があります。
原則的には医師が作成する書類なのですが、
医療機関・主治医名・押印されていれば何ら問題ありません。
訂正個所への訂正印が押してあるかの確認も必要です。

熊本で、障害年金の相談・請求代行
松永社会保険労務士事務所

2012年10月29日月曜日

第69回 血液,造血器、その他の障害用診断書

診断書別のチェック項目の最終回は、血液,造血器、
その他の障害用診断書になります。
この診断書は癌やHIV,その他 他の診断書ではなじまない傷病の場合、用います。

あくまで、障害年金の診断書は傷病名により診断書を使い分けるわけでなく
どこに,どういう風に障害状態があるかによって使い分けます。

まず、この診断書では障害状態を審査・判定するために必要な記載が
適切に記載されるようにします。

⑫欄の一般状態区分表というのは、日常生活の状態を5段階に分け、
その障害状態の程度を示すものですので、必ず該当箇所に印をつけます。

この診断書には癌の場合には、正式な傷病名が患者に配慮し
書かれない場合があり、それは審査側も考慮されます。

この診断書では必要に応じて、必要な検査を請求時に行ない、
必要と思える、障害状態が分かるような資料をつけることもあります。


さて、次回は初診日の証明書である受診状況等証明書についてです。



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2012年10月26日金曜日

第68回 腎疾患・肝疾患・糖尿病用診断書のチェック項目

今回は、腎疾患,肝疾患,糖尿病用の診断用の診断書のチェック項目です。
この診断書を用いる主な傷病は、慢性腎炎,ネフローゼ症候群,慢性糸球腎炎,慢性腎不全,
肝硬変,多発性肝腫瘍,肝癌,糖尿病等になります。

腎疾患の場合には、⑩計測、⑪一般状態区分表、⑫腎疾患欄は必ず記載されていなければ
いけない個所ですので、チェックして下さい。また各々、日付を記載するようになっている点も
注意を要します。人工透析療法により障害認定日の特例に該当する場合の検査成績等は、
人工透析開始後の数値で記載されていることが必要です。

糖尿病の場合には、上記に加えて⑭糖尿病(裏面)の記載が必要です。
肝疾患の場合には、⑩,⑪欄と⑬肝疾患(裏面)の記載が必要です。

腎疾患・肝疾患共に各々の記載欄の臨床所見に自覚症状に印をつける個所があります。
ここの個所が適切に印がついているのか、どうかもチェックされて下さい。

この診断書を用いる内科的な疾患の場合には、特に初診日の確定が難しい傾向があります。
請求前に過去の健康診断等での検査成績や医師からの療養上の指示等、
自覚症状を感じ始めた以降のみならず、検査成績で異常等を指摘された時期以降
現在までの経過を一度、まとめてみて初診日を検討したうえで
障害年金の請求を行って下さい。


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2012年10月24日水曜日

第67回 循環器疾患の障害用診断書のチェック項目

今回は循環器疾患での障害用診断書のチェック項目ですが、この診断書を用いるのは
慢性心包炎,リウマチ性心包炎,慢性虚血性心疾患,冠状動脈硬化症,狭心症,
僧帽弁閉鎖不全症,大動脈狭窄症,心筋梗塞,悪性高血圧等、心臓に関わる傷病になります。

診断書上の⑪計測欄,⑪循環器疾患欄は必ず記載されていなければならない個所で、
ここの年月日は認定日請求ならば障害認定日に近い検査日,
事後重症での請求であれば直近の検査日が書かれることになります。

診断書の裏面には、請求する傷病での症状で該当する個所が
記載されているかどうかを確認します。

また請求時には、診断書作成時点のレントゲン写真・心電図の写しを提出します。
最近ではレントゲンも前のようにフィルムでくれるのではなく
CDにデータとして入れたものをくれる医療機関も多くなっていますので、
その場合には、そのCDを提出します。


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2012年10月23日火曜日

第66回 呼吸器疾患用診断書のチェック項目

今回は、肺結核,じん肺,気管支喘息,慢性気管支炎,膿胸,肺繊維症等
呼吸器疾患用の診断書のチェック項目である。

まず、表面であるが、診断書の真ん中より下の⑩共通項目という欄は
その名の通り、呼吸器疾患での請求の場合には傷病名に関わらず
必ず記入していなければならない共通項目である。

次に、⑩欄 7の(2) 動脈血ガス分析値は、安静状態の計測値であり
酸素吸入施行中の値である場合、酸素吸入量を必ず記載しなければならない。

裏面の注意事項は、各々の傷病について請求する傷病の症状で該当する部分が
必ず記載されているかどうかを確認すること。

また、呼吸器結核,肺化のう症,けい肺等の疾患の場合には
必ずレントゲンフィルムを請求時に提出しなければならないし、
在宅酸素療法を施行している場合には、障害認定日の特例に
該当する場合もあるので注意が必要である。

次回は、循環器疾患用の診断書のチェック項目について



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2012年10月22日月曜日

第65回 精神の障害用診断書のチェック項目

精神の障害用診断書のチェック項目が今回のテーマですが、
精神というと心の病気と思いがちですが、本当は違います。
うつ病でも、統合失調症でも、脳の機能障害からきますので
この精神の障害用診断書は、認知症やてんかん,高次脳機能障害等でも用います。

この診断書は、他の診断書と違う点がいくつかあります。

1 検査成績の記入欄がない
  
   知的障害がある場合には、知能指数を記入しますが、その他の病気の場合
  
   現在の医学では精神の病気を客観的に数値で、その障害の程度を表わせないので
   当然と言えば、当然かもしれません。

2 発育歴・教育歴・職歴・治療歴・就労状況欄の記入欄がある
  
  発育歴・教育歴・職歴は、主に知的障害や発達障害等で請求する際の参考のためで
  
  
  治療歴は、精神の疾患の場合には単に診断書作成時点の症状のみならず
  今までの病状の経過を十分に審査の際に考慮することになっているため設けてあります。
  
  
  
   就労状況欄は、知的障害等の方が就労支援事業所等に行っている場合等
  単に仕事をしている、という表現では十分に就労状況の把握が出来ないため
  
     また、うつ病等での請求ではどのような仕事でストレスを感じているのか?
  そういう点を見るための記入欄になっています。

  
  ここで、注意したいのはこのような記入欄について主治医が正確に書けることは
  
  
     少ないので、診断書をお願いする際にメモ書きして渡すようにすることです。

3 日常生活状況欄
   
     ここも上記と同様、入院でもしていない限り、医師が把握しづらい点です。
  
  
   診断書に注意書きがされているように、一人暮らしを想定されて書かれているか?
  
  また、症状が正確に反映された記載になっているか? を確認します。

なお、精神の障害用の診断書は原則として精神科医が作成することになっていますが
平成21年10月に通達で、精神科医以外での作成も可となっていますので、
現在、かかっている主治医に作成を依頼することも出来ます。



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2012年10月19日金曜日

第64回 肢体の障害用診断書のチェック項目

障害年金の請求で多いのが、肢体の障害での請求です。

肢体の障害の診断書では、⑦欄に傷病が治ったかどうかを書く欄があり、
治っている場合と治っていない場合が、上下2段になっています。
ここでの治っているというのは、(  )書きがしてあるように、
症状が固定し、治療の効果が期待できない状態を含んでいます。
この⑦欄は、初診日から1年6ヶ月以内での請求の場合には
肢体の障害の場合、障害認定日の特例があるので、とても大事な箇所です。
初診日から1年6ヶ月以内に、身体障害者手帳の申請を行っている場合には
特例に該当して、1年6ヶ月待たずに障害年金を請求できる場合があるので
症状固定かどうか、主治医に相談して⑦欄を書いてもらいましょう。

切断・離断による機能障害の場合には、⑪切・離断の欄
人工骨頂・人工関節の装着の場合には、⑭装着の状態 が
必ず、記載されていなければなりません。

また、脳血管出血等の後遺症の場合には、⑬麻痺,⑮握力
⑯自動可動域が記載されていなければなりません。
⑯欄については、対比で状態の確認をしますので、障害が片側のみの場合でも
両方、つまり健康で障害のない方の状態も書いてもらわなければなりません。

肢体の診断書は、結構記入欄が多いのですが、診断書裏面に行きましょう!


脳血管出血等の後遺症の場合、⑰関節可動域・運動能力
⑲日常生活動作の障害の程度,⑳補助用具の使用状況,㉑その他精神・身体の状態が・・・

両側変形性股関節等のよる場合、⑰,⑱四肢長,⑲,⑳の各欄が・・・

切断・離断による機能障害の場合、⑳欄が必ず書いていないといけない個所です。

⑰関節可動域及び運動能力の欄では、⑯欄同様、左右の対比で障害状態の
確認がなされるので、障害が片側であっても左右とも書いてもらう必要があります。


次回は、これまた最近請求が多い、精神の障害用の診断書をみます。


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2012年10月18日木曜日

第63回 聴覚・鼻腔機能・平衡機能・そしゃく・言語…

今回は、聴覚・鼻腔機能・平衡機能・そしゃく・嚥下機能・言語機能の
障害用の診断書のチェック項目です。


鼻腔というのは、鼻軟骨の欠損や鼻での呼吸の障害であって、
平衡機能というのは、いわゆる肢体での障害の平衡機能障害でなく
内耳,その他からくる平衡機能障害のことです。

聴覚障害の「聴覚レベル」というのは、補聴器を使わない状態で
オージオメーターによって測定されたデシベル値での記載になります。

両耳の平均純音聴力レベル値が、90デシベル未満の場合には
最良語音明瞭度が記載されていなければ、等級判定出来ません。

平衡機能障害では、記載欄の閉眼での起立・立位保持,開眼での直線歩行,
自覚症状・他覚所見・検査所見が全て記載されていなければなりません。

そしゃく・嚥下機能障害の場合には、それぞれの記載欄にきちんと
必要な事が記載されていることが必要です。

咽頭全摘手術を行った場合には、障害認定日の特例に該当するので
障害の状態欄での現症日の日付に注意が必要です。

なお、この診断書の様式を用いる主な傷病は
メニエール病・感音性難聴・突発性難聴
頭部外傷や音響外傷による内耳障害・薬物中毒による内耳障害
外傷性鼻科疾患(鼻の欠損による鼻呼吸障害)
咽頭摘出後の後遺症・上下欠損等です。


次回は、肢体の障害用の診断書を見ます。


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2012年10月17日水曜日

第62回 眼の診断書のチェック項目

今回から、各診断書でのチェック項目を見ていきますが
前回、お話した発病日等の説明は省略します。

⑦欄 傷病が治ったか、否かの欄。
ここは(  )書きされているように、ここでの治ったという意味は
症状の固定も含みます。
症状の固定とは今の医学では現状として良くも悪くもならないという意味です。

必ず、診断書に視力検査値・症状所見の記載がなければなりません。

視野障害がある場合、ゴールドマン視野計のI /2 及び I / 4の視標
(それ以外の測定の場合、これに相当する視標)で継続した視野の記載が
必ずないといけません。

「矯正視力」欄は、矯正眼鏡またはコンタクトレンズを使用して得られた視力の
記載がなくてはいけません。また矯正出来ない場合には「矯正不能」という
記載がなされていなければなりません。

診断書が出来たら、確認しましょう。

眼の診断書を使う主な傷病は、
白内障,緑内障,ぶどう膜炎,眼球委縮,癒着性角膜白斑,網膜脈絡委縮,
網膜色素変性症,糖尿病性網膜炎  等です。

次回は、聴覚・鼻腔機能・平衡機能・そしゃく・嚥下機能・言語機能での
診断書のチェック項目です。



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2012年10月15日月曜日

第61回 診断書のチェック項目

診断書を医師に書いてもらって、確認せずに年金事務所等に
持って行くと、間違いを指摘されて訂正してから提出するよう
言われたり、窓口の方が詳しくないとチェックされずに
審査の方まで行って、そこで間違いを指摘されて、
結局、また訂正を医師に頼まなくてはいけません。

そこで簡単な診断書のチェック項目を書きますので、
必ず、書いてもらった診断書のチェックをしてから年金事務所等に
持って行って下さい。後で訂正を指摘されると二度手間になって大変です。

まず、傷病の発生年月日欄と初めて医師の診療を受けた日の欄ですが
もし、前に書いた受診状況等証明書があれば、そこに書いてある
発病日・初診日がここにきますので、照合してみて下さい。
※ 初診日と現在かかっている医療機関が同じ場合には
   今かかっている医療機関のカルテからの記載で問題ありません。

この二つの欄の横に診療録で確認と本人の申立ての二つがあり
どちらかを丸で囲むようになっていますが、もし本人の申立てによる場合
いつ、それを聴取したのか、年月日を書くようになっています。
※ 欄外に注意書きが書いてありますが、ここが抜けているケースが
   よくありますので、注意します。

次に診断書作成医療機関における初診時所見欄に
初診年月日を書く欄があります。
ここが初診日のある医療機関と診断書を書かれる医療機関が
異なる場合には、上記の診断書の上の方に記入欄がある
初めて医師の診療を受けた日と異なりますので、ご注意下さい。

年月日については、他に障害の状態という項目の横に
現症という年月日の記入欄があります。
ここには、診断書で証明する障害の状態の時期
つまり、いつの状態を証明しているのかの日付が入ります。

更に検査成績等を書く欄には、いつ検査を実施したのか?
その日付を書くようになっています。


とにかく、日付の欄はよく確認されて下さい。
書き間違いが非常に多い個所です。


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2012年10月12日金曜日

第60回 受診状況等証明書は必要?

受診状況等証明書は、診断書作成の医療機関と初診日のある医療機関が
異なる場合の初診日の証明書になります。

初診日が異なると、請求する障害年金の種類(障害基礎・障害厚生・障害共済)
だけではなく、障害厚生・障害共済年金の場合にはその支給額も異なってきます。
そのために、初診日の証明書が必要なのです。
※ 何故、診断書作成の医療機関と初診日のある医療機関が同じ場合
   不要なのか? と言えば、診断書と申立書を照合すれば初診日が分かるからです。

しかし、障害共済年金の請求をしようと共済組合に、請求に必要な書類を
送ってもらう際に、多くの場合にはその書類が入っていません。
共済年金の場合には、現職でさかのぼっての請求をせず、初診日と現在の
医療機関が同じである、という前提で書類を送っているみたいなので
書類は送ってこないし、必要な旨の記載もありませんが、
上記の通り、受診状況等証明書というものが必要になりますので
もし請求に関する書類一式に、同封していなかった場合には
共済組合に再度、連絡して送ってもらうようにします。



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2012年10月11日木曜日

第59回 受診状況等証明書で何が分かる?

診断書作成医療機関と初診日のある医療機関が違う場合、
つまり、初診日がある医療機関と現在かかっている医療機関が異なる場合
提出しなければならない、受診状況等証明書で何が審査側に分かるか?
どこを見られるのか? という話である。

一番大事な箇所は、この書類が初診日を証明するものであるので
初診日の年月日であるが、発病日の記載も重要。
現行の法律では初診日が重要視されるが、改正前の法律(昭和61年)では
発病日が重要視されることがあるので、どう書かれていても構わない
ということにはならない。

当然、発病から初診日までに期間が長ければ、何故その間に
医療機関を受診しなかったのか? を審査側は考えますので
その理由が分かるように申立書に書かなければなりません。

次に発病から初診までの経過を書く欄を、見ます。
診断書でもそうですが、医師に作成してもらった時には
その記述の内容を確認するようにしましょう。

この欄に前に医療機関にかかっていた,検査で異常が見つかっていた 等
前に何かあったような記載があれば、当然審査側はこの書類で証明している
初診日以前に、本来初診日にすべき日があるのではないか?
と考えます。 当然の話です。

そのため、この書類を書いてもらう医療機関を受診した際、特に初診の際に
発病から、その医療機関を受診するまでの期間をどうしていたか?等
どのように話しているのか? にも、その記述内容は異なってくる筈です。

また、この書類の傷病名は今回障害年金を請求する診断書上の傷病名と
異なっても構いません。何らかの因果関係があれば、何ら問題ありません。
例えば、この書類の傷病名に不眠症と書かれていて、診断書では
うつ病という傷病名でも、不眠という症状が出たので、最初に内科にかかり
内科で初診日の証明書を書いてもらい、請求時にうつ病という傷病名が
ついてしまった、というのもごくごく普通の流れです。

ただ、この書類の傷病名が全く今回、障害年金を請求する傷病名と
違って、因果関係などないような場合には、その書類での初診日の証明は
無効とされ、意味がないものになります。


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2012年10月10日水曜日

第58回 初診日の証明書がとれない場合

前回の続きで、初診日にかかった医療機関で初診日の証明がとれない場合です。

この場合、初診日の証明である受診状況等証明書という書類がとれなかったという
受診状況等証明書が添付できない理由書という書類を提出します。

この書類にはどこの医療機関に,いつからいつまで受診していたけれども
カルテが破棄されていた・医療機関が廃院になっていた・その他の理由を書いて
それはどのような方法で確認したのか? を請求者が自己申告するようになっています。

しかし、ではそれだけでいいのか? というとそうではありません。
やっぱり、初診日と言うのは障害年金の請求には重要な日付なので、
何らかの方法でそれを証明しなければなりません。

それは当時の診察券,診断書 等々、公的に、かつ客観的に証明できるものが必要で、
更にはやっぱり、医療機関の証明が必要になります。
ここでの医療機関というのは、初診日にかかっていた医療機関ではありません。
ここでは初診日の証明が出来ないのですから、2番目にかかった医療機関で
やはり受診状況等証明書を書いてもらって、その書類から発病日や初診日が
確認できるようにしなければいけません。

2番目の医療機関での書類で確認できなければ、3番目の医療機関・・・・
と次に次に・・・と続くことになります。

実際にはやってみなければ分かりませんが、これが難航するケースがあり、
初診日の証明するものを探すのに、1年かかるといった場合も
初診日がかなり前の場合には起こります。


次回は、では受診状況等証明書により審査側は何を見るか?
についてのお話です。


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2012年10月9日火曜日

第57回 初診日証明

今回は初診日証明のお話です。

初診日はとても重要で、初診日にどの年金制度に加入しているかによって
請求できる障害年金が異なりますし、決定後の年金額も異なります。

・・・と言っても初診日に国民年金の人は定額なので年金額に
影響を受けません。

では、初診日証明とはどうするのか? という事ですが、
初診日については、かなり前に書いたブログを参照下さい。

初診日が問題になるのは、障害年金を請求する時点でかかっている
現在の医療機関と、障害年金上の初診日がある医療機関が
異なっている場合です。
逆に言います、障害年金上の初診日にかかっていた医療機関と
現在の医療機関が全く同じ場合には、診断書の記載と請求者が作成する
申立書を照合すれば、何ら問題が生じないので、診断書をもって
初診日の証明と出来ます。

問題になるのは、初診日のある医療機関と現在の医療機関が異なる場合です。
実はこのパターンが障害年金の請求では実際には多いのです。
・・・と言うのも、初診日から原則1年6ヶ月経たないと請求出来ないので
その間に医療機関を変えるということは、よくあることなのです。
それが手術目的であったり、紹介状で大きな病院へ行く、等々
色々あるでしょう。

では、その場合はどうするの? という話ですが、その場合には
初診日を証明する書類を医療機関に作成してもらわなくてはなりません。
それは受診状況等証明書という書類ですが、実はこれが面倒。
初診日にかかった医療機関で、この受診状況等証明書が
作成出来れば、何ら問題ないのですが作成出来ない場合があります。

それはどんな時か?
今、医療機関でカルテの保存期間は5年と決まっています。
つまり、初診日が今から5年以内であれば、確実に作成してもらえますが
5年以上になると、法律上保存の義務がないので、医療機関が
いつカルテを処分しようが構わないわけです。

但し、だからと言って初診日が5年以上前にあるから、カルテがなくて
初診日の証明が出来ないか? と言うと、これは医療機関によって
異なります。比較的大きな医療機関であれば、数十年前のカルテも
保管されていることがありますし、現在では手書きのカルテではなく
電子カルテなので、データでの保管も出来ますので、医療機関に
問い合わせてみなければ、分かりません。


では、問い合わせた結果、当時のカルテがなくて受診状況等証明書が
書けないという場合には、どうすればいいのか? については、
また次回に続きます。 ここで諦めないで下さいね!



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2012年10月5日金曜日

第56回 20歳前の障害

前回、診断書の枚数を見ましたが、その中で説明を要する
20歳前の障害についてのお話です。

まず、20歳前の障害とは20歳前に障害状態があることで
先天性の場合もあれば、事故や病気が原因の場合もあります。
ポイントは障害認定日が20歳前にあるということです。
20歳前に障害の原因になる病気やケガがあっても、障害認定日が20歳以後の場合
この20歳前の障害という請求パターンには該当しません。

ところで、何故? 20歳前なんでしょうか? 疑問が生じるかと思います。
簡単に言えば、20歳までは国民年金の被保険者になれないからです。
そのため、本来は年金制度という保険未加入期間ですので
障害年金の対象にもなれないのですが、それでは日常生活に不自由という理由で
本来の年金という保険制度という意味合いではなく、福祉的に支給されるものです。

しかし、これが複雑なことに例外があります。上記に国民年金には加入出来ない
と書きましたが、20歳前でも義務教育を修了して、就職すれば厚生年金や共済年金には
加入することが出来ますので、その場合にはその他の障害年金と同じ扱いをします。
ですから、この20歳前の障害年金というのは、20歳になるまでに勤めたりせずに
年金制度に加入していなかった人だけの制度です。

では、請求の際の診断書になりますが、この場合には20歳時点で
障害状態を確認・審査することになっています。
更に他の請求と違うのは、他の請求の場合、認定日もしくは請求日を基準として
認定日以後3ヵ月以内,請求日の3ヵ月以内の心身の状態を記している診断書
ということでしたが、20歳前の障害の場合には20歳の前後3ヵ月以内の診断書と
なっています。ですから、前後に各3ヵ月ありますので、6ヵ月の期間内の
心身の状態を記した診断書でいいということになります。

複雑で文章でうまく伝わらないかもしれませんが、
あくまで初診日・障害認定日が20歳前にある場合の話であって
20歳前に初診日があっても、20歳以降に認定日があるような場合は
この20歳前の障害には該当しませんので、ご注意下さい。

20歳前に初診日があるような場合には以上のように分かりにくいので
年金事務所等や我々、専門に障害年金を扱っている社労士に
まずご相談をされたうえで、請求について検討することをお勧め致します。



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2012年10月4日木曜日

第55回 診断書の枚数

今回は、障害年金の請求に必要な診断書の枚数についてです。
診断書の枚数は、障害年金の請求の方法によって
異なってきますので、ご注意下さい。

1 障害認定日から1年以内に請求する場合
障害認定日から1年以内に請求する場合には、認定日以後
3ヵ月以内の診断書を1枚提出すると大丈夫です。
障害認定日に障害等級に該当していると認められた場合には
認定日の属する月の翌月分から、障害年金がもらえます。

2 障害認定日から1年以上たって請求する場合
通常、このパターンが一番多く、診断書が2枚必要になります。
一つは障害認定日以後3ヵ月以内の状態を書いた診断書であり
もう一つは、請求する日(正確には受付日)以前3ヵ月以内の
状態を書いた診断書になります。
但し、人によっては初診日からかなり経った時点で請求する場合が
ありますので、その場合には障害認定日で障害等級に該当することが
認められても、最大で請求から5年前分までしか、もらう事が出来ません。

3 障害認定日に診断書が出せない場合
障害認定日に医療機関にかかっていないには、請求日直近3ヵ月以内の
診断書だけしか、出せませんので提出する診断書は一通です。
原則、65歳までに請求しなければいけません。
但し、認定日に明らかに障害の程度が軽く、診断書が作成出来て
提出しても、明らかに障害年金はもらえないような場合には、
認定日時点の診断書は提出せずに、請求日直近3ヵ月以内の
診断書だけ提出することが出来ます。これを事後重症と言います。
認定日時点では障害の程度が軽くて、後に重くなったというパターンです。

この場合、請求日直近3ヵ月以内の診断書等から、障害等級が
認められた場合には、請求日の属する月の翌月分から
障害年金がもらえることになります。

また、2のパターンで診断書を2通提出したけれども
認定日時点の障害状態が障害等級に該当しないと判断される場合
結果的に3と同じく、請求直近3ヵ月以内の診断書で障害状態が
審査されて、結果的には2と同じようにさかのぼってもらえることは
ありません。

その他に、20歳前に障害状態になった場合がありますが、
説明が長くなるために、次回に続きます。



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2012年10月2日火曜日

第54回 使用する診断書の種類

前回、診断書の種類は8種類あって、
障害や障害の部位によって使い分けるものだと書きました。

あくまで、障害が生じている部位に対して、一番適切な診断書を用いますが、
参考までに診断書の種類と主な傷病名を掲げます。


眼の障害用
・ ブドウ膜炎,緑内障,眼球委縮,網膜色素変性症,無水晶体症 等

聴力・鼻腔・口腔・言語の障害用
・ 感音性難聴,メニエール病,外傷性鼻科疾患,上顎腫瘍,咽頭腫瘍 等

肢体の障害用
・ クマ膜下出血、その他脳内出血の後遺症,上肢等の離断・切断
 
  パーキンソン病,変形性股関節症,脊髄損傷,進行性筋ジストロフィー 等

精神の障害用
・ そううつ病,統合失調症,てんかん性精神病,精神遅滞 等

呼吸器疾患の障害用
・ 気管支喘息,慢性気管支炎,肺結核 等

心疾患の障害用
・ 心筋梗塞,動脈硬化,狭心症,慢性虚血性疾患 等

肝疾患の障害用
・ 肝炎,肝硬変,肝癌,多発性肝膿腫 等

腎疾患の障害用
・ 慢性腎炎,性腎不全,慢性糸球体腎炎 等

血液・造血器・その他の障害用
・ 膀胱腫瘍,子宮頸癌,クローン病,HIV感染症 等


障害の部位により、診断書を使い分けるとは
例えば、同じ脳内の出血でも後遺症は様々です。
肢体に障害が残るケースが多く、肢体の障害用を使用する一方で
記憶に何らかの障害を生じる、高次脳障害の場合には
精神の障害用,言語に障害が生じた場合には言語障害用の
診断書を用いることになります。



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2012年10月1日月曜日

第53回 診断書の種類

いよいよ、具体的な障害年金の請求について
今回から見ていきます。

障害年金で障害年金をもらえる条件の一つが障害状態です。
より正確に言えば、その障害の程度によって
どれだけ、日常生活や就労上に制限を受けるか?になります。
そして、それらは重い方から1級・2級・3級とあります。

これらの障害等級を審査する際に最重要視されるのが
主治医に書いてもらう診断書ということになります。

現在、障害年金の請求用の診断書は8種類あります。
それは障害の部位によって分類されており、
眼の障害用
聴覚・鼻腔機能・平衡機能・そしゃく嚥下機能・言語機能の障害用
肢体の障害用
精神の障害用
呼吸器疾患の障害用
循環器疾患の障害用
腎疾患・肝疾患・糖尿病の障害用
血液・造血器・その他の障害用  となります。

一応、目安にこういう病気の場合にはこの診断書を使用する
と言った例示がありますが、障害の種類・病気の種類は
星の数ほどあるために、結果的には現在の障害状態を
的確に示せる診断書を用いるということになります。

また、複数の部位に複数の障害があるような場合には
複数の診断書を用います。つまり、それぞれの障害が
別の障害であれば、各々の障害状態を的確に示せる
診断書がその数だけ使用するこということです。
そうしないと、現在の心身の状態を審査側に正確に
判断してもらうことが出来なくなり、結果的に請求する方が
損をしてしまうことになるので、診断書代はかかるでしょうが
複数枚用意しましょう。

但し、一つの障害、或いは障害の部位だけで明らかに
1級に相当するような場合や、診断書を作成するまでもない
軽い障害の場合には、提出する診断書の備考欄に
その障害のことを書いてもらって提出しても結構です。
必ず、複数の障害・障害の部位に対して
複数の診断書が必要ではありません。

ただ、実際に請求する場合には複数の診断書を用意すべきか
1枚の診断書でいいのか、判断に困ることがあるかと思います。
そういう場合には、年金事務所等や我々、障害年金を扱っている
社会保険労務士にご相談下さい。



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2012年9月27日木曜日

第52回 代謝疾患の障害

代謝疾患には、糖代謝,脂質代謝,蛋白代謝,尿酸代謝等があるが
障害年金の請求で多いのが糖尿病であり、糖尿病の基準を
障害認定基準では定めている。

糖尿病の場合、網膜症や腎症等の合併が見られるが、その場合には
各々の障害の認定基準(眼の障害,腎疾患の障害等)で審査される。

具体的には、インスリン使用でもなお血糖のコントロールが出来ない場合
おおよそ、3級相当とされ、単なる痺れや感覚の異常は
障害年金上では認定の対象外とされている。

代謝疾患での請求では、合併症の有無や程度,治療・症状の経過や
様々な検査成績,日常生活状況等が考慮され、
相互的な審査が行われる。

以下、悪性新生物(ガン)や高血圧症,その他の疾患等
障害認定基準上の障害別基準は続くが、割愛して
次回からいよいよ、具体的な障害年金の請求についての話に入ります。



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2012年9月26日水曜日

第51回 血液・造血器の障害

今回は血液・造血器の障害による障害年金の請求です。

まず、血液・造血器という種類は障害年金の請求時に用いる診断書の種類で
具体的には、再生不良性貧血,溶血性貧血,血小板減少性紫斑病,
凝固因子欠乏症,白血病,悪性リンパ腫,多発性骨髄腫 等をさします。

この種類での障害年金の審査で重要視されるのは、
当然ながら、血液検査での異常値になります。
また、輸血の頻度も重要で、診断書にいつからいつまでの期間中に
何回、計 どの位、輸血したのか? を記載する欄がありますので
確認下さい。

この種類の傷病での請求では検査結果とその推移についてチェックして下さい。

また、この種類の傷病の自覚症状の中には易疲労感(疲れやすい)や
動悸,息切れ,めまい,知覚の異常 等々があり、その主要なものは
診断書上の臨床所見の自覚症状欄に無・有・著の中から該当するものに
印をつけるようになっていますので、診断書の作成を依頼する際に
主治医に自覚症状については、正確に伝えることが必要です。



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2012年9月25日火曜日

第50回 肝疾患の障害

障害別に障害年金の障害程度の基準を見ていますが、
今回以降、肝疾患,代謝疾患等に続きますが
今回以降は概ね、次の通りになります。

大きな目安となるのが、

1級が、日常生活上のほとんどを自分で出来ずに常に他人の介助を要する程度

2級が、日常生活上で時々、他人の介助を要し、仕事が出来ないような程度

3級が、仕事は出来るけれども、何らかの制限が必要な程度

となります。これは全ての障害について共通の考え方です。
(なお、あくまで上記は目安なので、病気等によっては働いていても
  2級に決定されることもあります。)

では、それらを具体的に言えば・・・という事ですが、
今回以降の障害については、検査結果、つまり臨床結果が重要になります。
但し、あくまで上記の大きな目安をもとに個々につき判断されますので
障害認定基準(国が作成した障害年金上の障害程度を審査する基準)では
検査成績での異常値や異常所見については一部を例示するという形に
とどめています。

肝疾患の場合と言うと、血液検査の結果について異常値を示し、
昏睡度や一般状態区分(日常生活での障害の程度の段階)をあげ
一部例示という形で、検査成績と一般状態区分の組み合わせが
何級相当とみなされるのか? までしか、定められていません。

そうなると障害年金を請求出来るものなのか? 請求してもダメなのか?
検査成績の数値だけでは、医師でなければ状態が分かりません。
つまり、ここで最初の大きな目安で請求側は考えなければならないのです。

また検査成績等については診断書記載以外のものでも参考になるものが
あれば、資料としてどんなものを障害年金の請求時に提出しても構いません。
そのため、主治医と相談されてどういう検査をすれば
ご自身の身体の状態がどの程度悪いのか? 的確に分かるのか?
を確認されたうえで、検査を行い、診断書を作成してもらう方がいいかと思います。

なお、慢性肝炎自体は原則として障害年金の対象とまではなりませんが
GOTやGPTが、長期間にわたって100以上の値を示して、
軽易な労働以外の労働に支障がある場合には、3級相当とされています。

では、何をもって軽易な労働と言うのか? については
またいずれ、書きたいと思います。



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2012年9月24日月曜日

第49回 腎疾患の障害

腎疾患での障害年金の障害等級は、やはり大分類である次のように分けられる。

1級・・・日常生活のほとんどを自分では出来ない。
2級・・・日常生活に著しい制限がある。
3級・・・労働に制限がある。

腎疾患による、これら障害の程度は自覚症状,他覚所見,検査成績,一般状態,
治療や病状の経過,人工透析療法の実施状況,具体的日常生活状況等により
総合的に判断するとされている。

上記の自覚症状としては、悪寒,嘔吐,疼痛があり
他覚所見としては、尿や高血圧等の検査値の異常や浮腫等がある。

障害認定基準では、検査値の一部を例示し、また日常生活状況での
障害の程度を5つの一般状態区分(前の記事で既出)で表わしている
にとどまっている。

目安として、人工透析療法施行等の場合には最低2級とし
更に検査結果や症状によって、1級にする場合があるとしている。
加えて、人工透析療法を開始した場合にその日が
初診日より1年6ヶ月以内で、透析を開始した日から
3ヵ月経過日を障害程度をみる基準となる障害認定日とする
という例外が存在するために、少なくとも人工透析を行ったら
障害年金の請求を頭に入れておかなければならないことになる。



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2012年9月21日金曜日

第48回 心疾患での障害

※ 心疾患の障害で、障害年金を請求する場合、心疾患は審査が厳しい
   そういった感を受けます。

心疾患の場合には、心電図,心エコー,胸部エックス線,CT,MRI 等々で
心臓の状況をみるわけですが、障害年金の場合には検査結果と
一般状態区分表を参考に、総合的に障害等級を決定します。

一般状態区分については、前のブログ記事をご参照下さい。

実際の認定の基準では、異常所見を一部例示してありますが、
正直、検査データを見てもほとんど分かりません。
分かるのは、左室駆率(EF)の数値が、50%以下か否か程度でしょう。

そのため、心疾患で障害年金を請求する場合には、
とにかく審査側に心臓の状態が分かるように可能な限り
検査データや異常所見を診断書に主治医に書いてもらったうえで
胸部エックス線や心電図以外に、何か資料になるようなものがあれば
それらも請求時に添付して、提出した方が無難です。

また、心疾患の場合の多くは本人が自覚症状を感じた頃には
かなり状態が悪化しているケースが多くて、発病時期が不明確で
血圧等の既往症との因果関係等も難しいのが現状です。

目安として、心臓にペースメーカー植え込みや人工弁装着の場合
少なくとも3級程度で、術後の経過によっては上位等級になる
可能性があります。

注意頂きたいのは、これらを初診日から1年6ヶ月という原則の
障害認定日以内の時期に行った場合には、
その手術を行った日を障害認定日とする例外があります。



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2012年9月19日水曜日

第47回 呼吸器疾患による障害

呼吸器疾患は、肺結核・じん肺・呼吸不全に大別されている。

これらの障害の場合の障害年金での障害等級の判定で、重要視されるのは
各種の検査結果、つまり異常所見である。

加えて、呼吸不全等では
一般状態区分という日常生活での状態が加味される。
これは、一般状態を5段階で示したもので

ア 無症状で社会活動ができ、制限なく、発病前と同等に生活できる。
  
イ 身体を使った仕事の制限はあるものの、軽い家事や事務的な仕事等はできる。
ウ 歩行・身の回りのことは出来るが、介助が時に必要で軽労働は出来ないが
   日中半分以上は起き上がっている。
エ 身の回りのことはある程度出来るが、しばしば介助が必要
   日中半分以上は横になっており、自力では屋外への外出がほぼ出来ない。
オ 身の回りのことが出来ず、常に介助が必要で、終日横になっており
   ベッド周辺に活用範囲が限定されている。

※ 表現は筆者が改変している。

上記の5段階の日常生活での状態は、一つにそのまま該当する状態というのは
正直、なかなかないかと思われるので、5つのうちにどれに近い状態であるか?
という視点で、どれか一つを選ぶべきである。
(主治医が診断書を作成する際に、印をつけられるので、適正か否か
  請求者自ら、診断書のチェックをする必要がある。)

なお、実際に判断基準を具体的にまとめた障害認定基準では異常所見を
一部、例示するという形をとっているために、この基準に記されていない
異常所見であるから、判断の基準にはならないというわけではない。

そのため、特に内科系等の検査データで、身体の状態が分かるような
病気による障害の場合には、出来るだけ異常所見を診断書に記してもらった方がよい。



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2012年9月15日土曜日

第46回 精神の障害

※ 以下は目安であり、現時点の障害年金の審査基準です。

精神の障害は、大別すると4つに分けられている。
① 統合失調症・気分障害(うつ・そううつ病)
② 器質性精神障害
③ てんかん
④ 知的障害    となっている。

①についての審査では単に診断書によるもの、つまり診断書で表わされる時点
のみで判断することなく、発病から今日までの病状の経過が考慮される。
・・・と言うのも、症状に波があり良い場合と悪い場合があるからである。
そのため、特に申告書による今までの経過を適正・的確に書いていないと
審査の際に不利になる。

日常生活での様子やお仕事の様子を、あくまで書面審査なので
読み手である審査側に分かるよう、伝わるように書かなければならない。
特に仕事をしている,していた場合には、どのような仕事をやっていて
仕事への影響等も記入し、仕事を既に辞められている場合には
それが退職なのか、解雇なのか、自己都合退職なのか
その理由についても、出来れば相手に伝えたい点である。

どうしても申立書は請求者自らが作成するものなので、主観的になりがちなので
客観的に、どこが,どう,どの程度なのか? 症状が伝わるように書いて欲しい。


②については、先天的な異常や交通事故等での頭部の外傷等により
脳内に異常を生じたことによる精神障害である。
具体的には、アルツハイマーや高次脳障害等と言った傷病名になる。
請求に際に気をつけたい箇所は、①の通りである。

③てんかんについては、その発作の程度の頻度が問われる。
④知的障害について、気をつけたいのは単にIQのみで判断されるわけではないので
きちんと日常生活場面で、こういうことは出来る,分かる、こういうことは出来ない
といった、本人の生活レベルを審査側に伝える必要がある。


なお、精神的な障害の場合には、今まで見てきた他の障害のように
具体的な障害等級についての定めはされていない。
非常に抽象的であり、曖昧さが残る基準にとどまっている。

それは精神的疾患の場合には、今の医学では客観的な所見・検査が
確立されていないためである。そのために、他の障害よりも申立書が重要となる。

ただ、うつ病で請求して、症状の羅列のような申立書では相手に伝わらない。
そのため、申立書を自分で作成したのであれば、第三者に一度読んでもらい
どういう生活を過ごしているのか? 今までの経過はどうなのか?
仕事をしていないのであれば、何故? 仕事が出来ないのか?
こういった点が、読み手に伝わるのかどうか? 是非、確認して頂きたい。




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2012年9月13日木曜日

第45回 体幹・脊柱・肢体の機能障害

※ 以下はあくまで目安であり、現時点のものです。
 

体幹の障害で、1級相当の障害の程度とは、腰掛,正座,あぐら,横座りの
いずれも出来ないような状態、もしくは寝た状態や座った状態から自力では
立ち上がれずに、他人の介助や杖等の他のものの補助が必要な場合とされる。

2級相当の障害の程度とは、室内においては松葉杖等の補助用具がなくとも
歩くことが出来るが、屋外では補助用具を要する程度のものとされる。

なお、3級・障害手当金相当の障害の程度も定めてある。

脊柱の障害の場合、ズボンの着脱,靴下を履く,座る,立ち上がる,最敬礼する
という日常生活動作の程度が審査上、考慮される。
(これらは診断書の裏面、中段に記載するようになっている。)

肢体の障害については、上肢の障害,下肢の障害,体幹・脊柱の障害の
各々の基準により審査がなされるが、総合的な日常生活動作の程度と
診断書上の各数値(どれだけ、関節等が動くのか?)等により
最終的な決定がなされることになっている。

具体的な日常生活動作の程度の審査項目は、
手指であれば、つまむ,握る,絞る,ひもを結ぶ
上肢の場合、さじでの食事,洗顔,トイレの処置,シャツの着脱
下肢の場合、立ち上がり,歩行,片足立ち,階段の昇降
等であり、これらも診断書裏面の中段に各項目の記載欄があるので
診断書をよく確認して欲しい。


次回は、精神の障害についてです。


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2012年9月10日月曜日

第44回 下肢の障害

※ 以下はあくまで障害等級を判定する基準であり、目安です。
   また、このブログを書いている時点のものです。

今回は、前回の上肢に続き、下肢についてである。

下肢の障害の場合、機能障害・欠損障害・変形障害・短縮障害に区分される。

1級相当の障害程度とは、両下肢の機能に著しい障害を有するものとされるが、
具体的には松葉杖,下肢装具等の補助具を使用しない状態では日常生活動作である
立ち上がり,歩行,片足立ち,階段の昇降等が全く出来ない状態とされている。
また、その他両下肢を足関節以上で欠くものも1級相当である。

2級相当の障害程度とは、両下肢の全ての指を欠くものや一下肢の3大関節中の
2関節以上が全く使えないような状態,一下肢を足関節以上で欠くものとされている。

3級・障害手当金相当の障害の程度については、割愛させて頂くが、
前回の上肢と同じく、診断書の裏面中段の日常生活動作がどの程度
出来るのか? という点が重要なポイントである。

また、人工骨頂や人工関節の挿入置換について
その時期が初診日より1年6ヶ月以内にある場合に限り、
挿入置換日とされる点に注意しなければ、障害年金をもらう際に損をすることになる。

なお、上肢と下肢、共に障害状態である場合には
総合的に判断されることになっている。


次回は、体幹・脊柱の機能障害,肢体の機能障害を見て
その次の精神の障害について見る予定である。



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2012年9月9日日曜日

第43回 腕の障害

※ 以下は、あくまで障害等級の目安であり、現時点のものです。

また、障害年金で請求する障害では、その原因は問われませんので
交通事故や労働災害の後遺症,病気や先天性のものでも請求できます。
前に書いたことですが、念のために・・・

まず、腕のことを上肢と言います。つまり、以下は上肢の障害の基準です。

1級の場合、両方の上肢が全く使えない,全ての指が使えない,
全ての指がない、といった程度の障害程度とされています。

2級の場合、上記の1級の説明文の「両方の」の部分を「片方の」と読み替えて下さい。
また、両上肢の親指と人差し指、又は中指がなかったり、機能しないような場合も
2級相当程度とされています。

以下、3級,障害手当金の相当程度の障害の状態が細かく決められていますが、
結論を言えば、上記のような目安のどの程度に該当するか否かで
障害等級が決定されます。

その際に、参考とされるのが診断書の裏面中段にある
日常生活での動作の障害程度欄です。(もちろん、この欄のみで判断されません。)


また3級・障害手当金相当程度の障害程度では、関節についての障害程度や
指の機能等が見られます。つまり、関節や指の機能がどうなのか?です。

元々、これらの障害等級の判断では、機能障害・欠損障害・変形障害等に
大別され、各々の観点から障害程度を判定することになっています。


次回は、下肢の障害についてです。



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2012年9月7日金曜日

第42回 言語機能の障害

※ 障害等級はあくまで目安で、現時点のものです。

今回は音声・言語機能の障害です。つまり、うまく話せないという障害での基準です。

まず、この障害は歯・アゴ・口腔(舌・唇等)・ノド・気管等発声器官の障害によるもののみ
ではなくて、脳性(失語症等)や耳性疾患等によるものも含まれます。

2級相当の障害とは、音声・言語の喪失、もしくはそれらの機能障害があるために
自分の思っていることを身振りや字を書いて伝えなくてはいけないような程度
もしくは、以下の4種の語音のうち、3種以上が発音出来ないか、極めて不明瞭で
通常の会話を誰も理解できない程度とされています。

4種の語音とは、
口唇音(マ行音・パ行音・バ行音等),歯音・歯茎音(サ行音・タ行音・ラ行音等)
歯茎硬口蓋音(シャ・チャ・ジャ等)・軟口蓋音(カ行音・ガ行音等)


3級相当の障害とは、上記の4種の語音のうち、2種が発声出来ない、
もしくはきわめて不明瞭で、日常会話は家族は理解できるが他人は理解できない程度。

障害手当金相当の障害とは、上記の4種の語音のうち、1種が発声出来ない、
もしくはきわめて不明瞭で、電話による会話は家族は理解できても、
他人は理解できない程度とされています。

咽頭全摘出の手術をした場合、手術をし言語機能を喪失したものは原則、2級です。
咽頭全摘出の場合、初診日から1年6ヶ月以内に手術をしたケースでは
手術をした日が、障害認定日となりますので、注意が必要です。



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2012年9月6日木曜日

第41回 そしゃく・嚥下機能の障害

※ 下記の障害基準はあくまで目安であり、現時点のものです。

まず、そしゃく・嚥下機能の障害とは食べ物を口に入れて、歯で噛んで
小さく吸収されやすくして、胃や腸に送る機能の障害です。


そしゃく・嚥下機能単独での障害程度の判定では、障害年金の障害等級では
1級の設定はありません。

これらの機能の障害の程度は、摂取できる食べ物の内容や摂取の方法によって
区分されていますが、関係する器官・臓器の形態や機能,栄養状態等も
十分考慮して、総合的に判断するものとされています。

まず、2級相当の障害程度とは
・流動食以外は摂取できない ・口により食物が摂れないもの
・口により食物を摂ると、口からこぼれるため、手や器等により防ぐ必要があるもの
・1日の大半を食事に費やさなければならないもの
とされています。

3級相当程度となると、口からの食物の摂取のみでは十分な栄養の摂取が出来ずに
ゾンデ栄養の併用が必要、もしくは全粥・軟菜以外は摂取できない程度のものです。

障害手当金相当の程度では、ある程度の常食は摂取できるが、そしゃく・嚥下が
十分できないため、食事が制限される程度です。

食道・舌・口腔・咽頭等の異常等による障害では、摂取できる食物の内容により判断されます。


次回は、言語機能の障害についてです。



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2012年9月5日水曜日

第40回 平衡機能の障害

※ 以下はあくまで現時点の、障害年金の審査の目安です。

平衡機能の障害単独では、障害等級1級の設定はなされていない。

2級相当は手足に異常がないにも関わらず、眼を閉じた状態で立っていられなかったり
眼を開けて10メートル程を歩けないような状態。

3級相当は、2級相当の文章を以下のように読み替える状態。
眼を閉じてなんとか立っていられる(不安定)
眼を開けて10メートル程をよろめいたりしながらも、何とか歩ける程度であり
仕事を行う際に明らかな制限があるような状態。

めまいの自覚症状が強く、眼振や検査結果で異常所見があるような場合
3級、もしくは障害手当金相当の程度とされる。

なお、ここでの平衡機能障害の原因には内耳性のもの以外に
脳性のものも含まれる。


次回は、そしゃく・嚥下(呑み込み)機能の障害です。


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2012年9月4日火曜日

第39回 鼻腔機能の障害

※ しばらく、各障害の障害等級の審査基準が続きます。
※ これらはあくまで、目安であって各個別に審査されます。又、基準は常に見直されて
   いるため、現時点のものです。

鼻腔機能の障害については、鼻の欠損による機能障害の場合に
障害手当金相当程度と定めてある。

障害手当金とは、障害年金、つまり“年金”という形で出されるものではなくて
一時金で一回ポッキリの支給のものである。

では、具体的に上記の鼻の欠損による機能障害とは何かについては
次のように読み替えてある。
鼻軟骨部の全部、又は大部分を欠損し、かつ鼻呼吸障害があるもの。

なお、嗅覚脱失、つまり匂いが感じられない障害については障害年金の
障害等級を定める場合の認定の対象には通常されない。


次回は、平衡機能の障害について


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2012年9月3日月曜日

第38回 聴覚の障害

※ 以下の障害等級の基準は、あくまで現時点のものであり、目安です。

聴覚の障害で、両耳の聴力レベル100デシベル以上は1級相当とする。
両耳の聴力レベル90デシベル以上は2級相当とする。
両耳の聴力が、40cm以上では通常の話し声が聞き取れない程度を3級相当とする。

その他、両耳の平均純音聴力レベルが80デシベル以上で、
最良語音明瞭度が30%以下は、2級相当であり
両耳の平均純音聴力レベルが70デシベル以上、或いは
同レベルが50デシベル以上、かつ最良語明瞭度が50%以下は、3級とする。

その他に、一方の耳の聴力が、耳殻に接しなければ大声による話を聞き取れない
ような程度の場合には、障害一時金の対象とされる。

その他、留意点
・ 聴覚レベルは、両耳又は一耳で判定され、視力のような数値の和ではない!
・ 障害手当金相当の障害程度は、一耳の平均純音聴力レベル80デシベル以上で
  症状が固定化しているもの
・ 聴覚障害で、身障者手帳4級以上は障害年金受給の可能性大
・ 両耳が同一傷病の場合、片耳が病状していなければ固定したものとみなされない。
・ 感音性難聴を健康診断時に異常の指摘を受け、療養上の指示等を受けた場合
  その健診日を初診日とみなす。



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2012年8月30日木曜日

第37回 眼の障害

まず、目の障害を見ます。

実は障害認定の基準は、近年見直しが多くなされています。
医学の進歩と実際の請求の実情に合わせて
場合によっては、見直しが必要になるからです。
ですから、あくまで以下は現時点の基準です。

まず、眼の障害は視力・視野・調節機能・輻輳(両眼が同時に内側を向くような
眼の動き等)機能障害・欠損障害に分けられています。

以下の視力は矯正後の視力をいい、両眼の視力の和とは
各々の測定値を合算したものをさします。

両眼の視力の和が、0.04以下のものは1級相当です。
両眼の視力の和が、0.05以上0.08以下のものは2級相当です。
両眼の視力が、0.1以下のものは3級相当です。

両眼の視野が、5度以内のものは2級相当です。

以上は、あくまで例示であってその他に眼の障害があれば
それも加味されて、判断されます。

眼の障害の場合には、3級には該当しない程度の場合に
障害手当金という一時金が支給される場合があるので要注意です。


また、眼の病気で請求が難しい病気に網膜色素変性症があります。
先天性の病気ですが、若い頃には視力が少し落ちて眼鏡をかける程度で
中年以降に発症し、症状が出るのが一般的です。

この場合、いつの時点を初診日にするのか? が
障害年金の請求で難しい点です。

先天性だから20歳前の障害基礎年金単独での請求と年金事務所で
言われることがあるかもしれませんが、自覚症状や病状が確認されず
普通に勤めていたり、日常生活を送られている場合には
障害厚生年金の時期を初診日と主張することで、2階部分の年金がもらえ
得することがありますので、請求の際には注意が必要です。


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2012年8月29日水曜日

第36回 障害認定基準とは・・・

障害年金での障害等級は、1級から3級まであります。
障害基礎年金は1級と2級だけしか設定されていないことは
既に書いた通りです。

そして1級・2級・3級とは、どのような状態であるのか?
大まかな目安、とらえ方も前に書きました。

しかし、これだけでは実際に様々なケガ・病気に起因する障害を判断し
障害等級の軟球に該当するのか、という場合にあまりに漠然としているので
審査する現場も困るし、何より審査先により決定結果にばらつきが
生じる恐れが出てきます。

そのため、国が実際に審査する際の判断基準を決めているのが
障害認定基準というものです。
障害基礎年金・障害厚生年金では、国から委託を受けて日本年金機構が,
障害共済年金の場合、各共済(連合会)が、障害状態の審査をします。
各審査機関で審査の際に用いられている判断基準なのです。

これを見ていきますが、社労士の方で障害年金の請求代行をされている方の
ホームページに、ほぼ全部を掲載している方がいますが
全てを知る必要はありません。障害の種類によっては混乱するかもしれません。
また、全ての障害について定めてあるわけでもありませんし、
この判断基準自体、障害の種類によっては曖昧さを残さざろう得ないような
種類もあるため、曖昧な部分も実際にはあります。

判断基準自体に曖昧な部分が残っているために、我々社労士が請求代行を
行う場合でも、「おそらく、〇級程度だろう」程度の話しか出来ませんし、
年金事務所等の窓口での相談でも、決して〇級に該当するような話はされません。

曖昧さが残り、実際には請求して結果が出なければ分からないという面が
障害年金の請求ではあることをご理解の上、
次回以降、その判断基準をご覧下さい。



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2012年8月27日月曜日

第35回 障害別障害等級を見る前に・・・

障害別の障害等級を今から見ていきますが
その前に、誤解なきよう説明をしておきます。

障害年金は、障害状態について日常生活や就労上支障がある場合に
支給される、いわば生活保障です。
この障害状態とは、病気・ケガの種類・原因を問いませんので、
先天性でも、交通事故・労災の後遺症でも、病気やケガの状態が
前のブログの記事に書いたような状態であれば、支給されるものです。

但し、前に書いた1級から3級までの障害状態とは、あくまで目安であり
実際には障害別に障害年金の判断基準が定まっています。
・・・とは言え、病気・ケガの全てについて、判断基準を定めることは
不可能ですので、障害別の定めてある判断基準もあくまで目安であり
それに該当しない場合には、その方の障害状態に近い判断基準を用います。
それでも、中には非常に珍しい病気,一般的にはなじみのないような病気では
うまく、その病気を判断する基準が他の病気のものが利用出来ずに
最終的に、前に書いた1級から3級までの障害状態の大きな目安で
考えた場合には、果たして何級に該当するのか?
という判断になってきます。

ですから、次回から障害別の障害年金の判断基準を見ていきますが
それはあくまで例示であり、それが全ての判断基準ではなく
ケース・バイ・ケースで判断される場合も当然ありうるという点を
ご理解頂きたいと思います。


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2012年8月22日水曜日

第34回 障害等級とは・・・

前回の障害状態の要件を少し詳しく見てみます。

障害年金を受けるには、障害年金で定める障害等級に
心身の状態が該当しなければなりません。
この障害等級は、労災や身体障害者手帳等の障害等級とは全く違って
障害年金独自のものであり、手帳類の所持が条件ではありませんので
手帳をもらえる状態であっても、先に手帳の申請をして交付を受けてから
障害年金の請求をしなければならない、ということはありません。

障害等級は、障害年金では1級から3級まであります。
手帳や労災の障害等級が多いのに比べて、等級が少ないのが分かります。

障害基礎年金には、1級と2級しかありませんが
障害厚生年金や障害共済年金には、1級から3級まであります。
(念のため、両者の1級と2級は同じ障害状態です。)
そのため、心身の状態が非常に悪い場合には障害基礎年金でも
障害厚生年金や障害共済年金でも障害年金がもらえますが
障害状態が比較的軽く、3級に該当するような場合には
障害厚生年金・障害共済年金はもらえますが、3級という等級の設定がない
障害基礎年金は、もらえないということになります。

では、具体的に1級・2級・3級とは、どういう状態なのか?
という点が気になるところだと思います。

障害の状態別に実は細かく決まっているのですが
まず概要です。最初から細部を見てみると1級から3級までの
大きな区分が分かりませんので、分かり難くなります。

1級とは、自分の身の回りのことがほとんど出来ない状態で、いつも、誰かの介助が必要な状態。

2級とは、自分の身の回りのことは少し出来るのだが、誰かの介助を必要として、お仕事が出来ない状態。

3級とは、仕事は出来るけれども労働時間を短くしたり、出来るお仕事の内容が限定されるような状態。

と、上記が1級~3級の大まかな考え方です。
但し、あくまで大まかなとらえ方なので、障害の種類や
その方の生活状況やお仕事の内容によっては、
お仕事をしていても、2級に該当するような場合もあります。

次回以降、障害別の障害等級を見ていきます。


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2012年8月21日火曜日

第33回 障害要件とは・・・

今回は、障害要件についてです。

当然のことながら、障害年金は心身の状態が障害状態の場合に初めて支給されます。
ところが、この障害状態というのが分かり難いわけです。

年金制度への加入の要件,年金保険料の納付要件のこの2つについては
年金事務所や市区町村役場でも、初診日さえ確定させれば確認出来て
問題なしと言われれば、何ら問題はありません。

しかし、この障害要件を満たしているのかどうか、については
年金事務所の窓口受付の方も、明確なことは言われません。
次回以降、お話するのですが、非常に曖昧な箇所があるからです。

今回は、概略の説明だけしますが、そもそも障害とは何か?と言いますと、
日常生活での支障,お仕事をする上での支障を言います。
障害と言いますと、多くの方が肢体の障害、車椅子や寝たきり状態を
イメージされますが、生活や仕事での支障ですので、
心の病気で大きな問題がある場合も、該当することになります。

今ではネット等の情報で、かなり浸透はしてきましたが
うつ病や統合失調症等の心の病気でも十分、障害年金の請求が出来ます。
心の病気は、程度も様々で症状も様々で日常生活で大きな支障をきたす
原因になっています。

今回は、まず障害とは生活や仕事での支障であって、
必ずしも身体的な障害のみに限らず、心の病も含まれることを
ご理解下さい。 少しずつ、障害状態について見ていきましょう。



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2012年8月20日月曜日

第32回 障害状態を審査(判断)する日

前に、障害認定日請求と事後重症請求と請求方法にも
種類があることをお話しました。


障害認定日は、原則初診日から1年6ヶ月経過時点であり
その時点で、心身の状態が障害年金で定める障害等級に
該当しない程度だったり、その時点の証明が出来なければ
現在の心身の状態で障害等級に該当するか否か、
該当する場合には、何級なのか?を判断(審査)してもらいます。

そのため、初診日から1年6ヶ月時点で請求すれば
提出する診断書は1通で構いません。

しかし、数年後に請求する場合で上記の1年6ヶ月経過時点の
診断書が提出出来れば、その時の診断書と今の診断書と
2通、診断書が必要になります。
1年6ヶ月時点で認められると、最大で5年分はさかのぼって
障害年金がもらえるということになります。

一方で、ちょうど医療機関を受診していなかったような場合には
その時点の診断書が提出出来ませんので、
結果的に現在の診断書で判断してもらうことになり、
さかのぼって、まとめてもらうことは出来なくなります。

なお、初診日から1年6ヶ月経過時点とは
1年6ヶ月の日以後、3ヵ月以内の身体の状態を書いたものであり
診断書上の現症日に、その日付が書かれなくてはいけません。
また、現在の診断書とは年金事務所へ提出する時点から
3ヵ月以内に書かれた診断書となっています。

更に・・・・ 障害認定日後から1年以内に障害年金を請求する場合
障害認定日時点の診断書1通で足ります。
このあたりも、よく整理しなくてはいけない所です。

年金事務所等に障害年金の相談に行かれる際には
必ず、今までの経過をお話して、いつの時点の診断書が
何通必要であるのか? をご確認下さい。

診断書一つとっても、このように人によって
或いは、そのケースによって、いつの時点か? 何枚必要か?
異なりますので、注意が必要です。



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2012年8月17日金曜日

第31回 保険料納付要件とは?

今回は、年金の保険料の納付要件とは? という話です。
前からの記事をお読みになると、年金というのは保険制度である
と分かって頂いているかと思います。

しかし、民間の保険と違うのは国がやっている、国民が一定年齢の場合
必ず入らなければならない保険制度であるという点です。
ですから、年金の保険料の本来は納めるべきですが、何らかの事情で
納められないような場合がありますよね。
そういった場合に、ではどれだけ納めていれば障害年金という
いわば、保険を受け取ることが出来るのか?を定めておかなくては
混乱が生じますので、この保険料納付要件というものが決まっています。

現在の法律での話ですけど、実は次の2つのいずれかを満たせば
年金の保険料の条件は満たしています、との扱いをされます。

① 初診日の前日において
   初診日の前々月までの年金の被保険者期間内で
   保険料を納めた期間と免除された期間が、3分の2以上あること

② 初診日の前日において
    初診日の前々月までの年金の被保険者期間1年間で
   未納期間が全くないこと

この②の場合は、特別な扱いで現在用いられているもので
本来は①の条件を満たすというのが、条件。

「初診日の前日」という言葉があるように、初診日というのは
年金の保険料の納付状況を見る基準日にもなるわけです。

これ、何故? 初診日の前日か? って思うでしょう。
簡単に言えば、事後的に保険請求が出来ないようにしてあるの。
初診日において、と決めてしまえば、極端な話ですが
事故やケガで医療機関にかかった、その初診日に今まで払っていなかった
年金保険料を納めれば、いともやすやすと保険料納付要件を
クリアーすることになりますよね。
そうすると、どうでしょう? 民間の保険会社でも今まで保険には
加入していない、或いは保険料を納めていないのに
ケガしただの、交通事故にあっただので、支払い対象の事故があって
契約・加入・保険料の支払いをして、保険をもらえるならば
こんないいことはないけど、こんなことしていたらそもそも
保険制度自体、成り立たないというのは誰でも分かります。
そういうことなんです。

次に、「前々月まで」という表現なんですが、年金の保険料の納付期限は
翌月の末日となっているのです。それで初診日を基準に保険料の納付の
状況を確認するとすれば、「前月まで」でみてしまうとまだ保険料の納付
期限が過ぎていないので、結果的に納付状況を見れないということに
なってしまいます。そこで、「前々月まで」で区切ってチェックするのです。

それから、今は特例で②を満たせば、例え①を満たさなくても
問題なし! という扱いをされるので、②だけ見た方が早いんだけども
単に、②を見るときに、初診日の前々月までの1年間にどこかに
勤務していたので、何ら問題なし! と思い込んではダメです。

全ての事業所が、厚生年金の加入の対象ではありませんし、
今のように、法人の事業所が厚生年金に加入しなければならないのは
決して、昔からではなくて、従業員何人以上を対象とする
といった人数での事業所規模の加入条件が法律の改正によって
段々無くなってきたので、今厚生年金に入っている事業所なので
最初から、厚生年金に加入していた、とは限らないわけです。

このへんがこれまた、難しい点ですね。



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2012年8月16日木曜日

第30回 資格要件を詳しくみると・・・

前回、障害年金をもらうための資格要件についてみた。
今回は、その続きである。
昭和61年3月以前と昭和61年4月以降の年金制度は
大きく異なるという話を前にしている。

実はこのあたりが、場合によってはかなり難しくなり
年金事務所の窓口職員でも間違った説明や処理をされる事があり
我々も、よく確認しなければいけない点になる。

また、年金制度は何度も今までに改正されているために
その影響を受ける人達がいる。

具体的には、学生やサラリーマンの配偶者等が代表的。

平成3年3月以前までの学生や
昭和61年3月以前までのサラリーマンの配偶者は
国民年金に必ず加入しなければならないといった扱いではなく、
任意の加入という扱いでした。

こういう扱いの違いによって、実際に障害年金を請求する際には
障害基礎年金がもらえる場合もあれば、障害基礎年金は
もらえない代わりに、特別障害給付金がもらえる事もあります。

ただ、この辺りは深く入り込む必要はありません。
何故ならば、余計に分かり難くなるからです。

ポイントとしては、障害年金の資格要件(加入要件と保険料納付要件)は、
書籍やパンフレット等に書かれているものは一般的な原則であり、
人によっては、それがそのまま当てはまらない場合がある
という事を知っておくことです。

原則だけではなく例外的な扱いもある、という考えは
障害年金だけでなく、老齢年金をみる場合にも
とても重要なことです。



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2012年8月12日日曜日

第29回 資格要件は・・・本当は複雑

障害年金をもらうための3つの要件である
年金制度への加入要件と年金保険料の納付要件を併せて
資格要件と言います。

実はこれがやや複雑なんです。
簡単に言いますと、昭和の頃に発病時期がある人
つまり、約30年近く前に発病している人は、要注意です。

障害の原因となった傷病の発病した頃の法律の定めにより
この資格要件が決まり、もう何度となく法律の改正で変更されています。

ここでも他の人の話をそのまま自分の話にすると、間違えてしまいます。
ですから、障害年金はあくまで、その人・その人と個人の状況に
合わせて、その請求を検討しなければならないわけです。

資格要件は、昭和61年4月以降の今の年金制度と
それ以前の年金制度では、全く違います。
この昭和61年4月以降か、3月以前か? というのは
障害年金に限らず、年金を考えるうえで重要です。
年金制度自体、もう全く別モノと考えて下さい。

加入要件につきましては。初診日に年金制度に加入していたかどうか
ということになりますが、これは原則であり、加入していなくても
条件を満たす場合があります。 (前にも書いた筈ですが・・・)

一方の年金保険料を一定期間分、納めたか否かという条件
つまり、納付要件については何度も改正され、途中で変わっています。

年金保険料を間違いなく、完全に納めたという方は何ら問題にはなりません。
・・・が、保険料を納めていない期間がある場合には、この納付要件を
クリアーすることが、障害年金の請求の一つのハードルになります。

と言いましても、今から納めていない分を納めても
将来もらう老齢年金には影響しますが、障害年金を今から請求しようとする場合
少なくとも過去の時点で判断されるので、どうしようもありません。


また、この先は次回に続きます。



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2012年8月10日金曜日

第28回 障害年金は保険なんです!

障害年金をもらうための条件(法律では、要件と言います。)は
3つあります。既にお話した通りです。

1 年金制度への加入要件
2 保険料の納付要件
3 障害状態要件      になります。

この3つの条件を満たして、初めて障害年金をもらうことが出来ます。(例外もありますが・・・)
どれか一つでも、欠けると原則的には障害年金を全くもらうことが出来ません。

例えば、年金の保険料の納付要件ですが、1ヵ月分でも保険料の納付が
必要な期間分に足らないと、それだけでアウトです。
自分の年金記録に抜けている年金の記録がないかどうか、
必死で探さなくてはいけないことになります。

国が定めたルールなので、多少厳しいと思われるところもあるかもしれませんが、
どうしても、年金制度という大きな柱で成り立っているわけですから厳しくならざろう得ません。
でも、民間の保険でも同様ですよね。保険に入って保険料を納めて、入院するだの
交通事故にあうだの、最初に定めた事故が生じた場合に保険金が支払われるというのは・・・
ただ、年金の保険料の支払いは義務であり、民間の保険のようにテレビでCM等を
流すわけではありませんので、いざ、障害年金を請求しようとすると
年金の保険料が足らない、なんていう事は実際にある話なんです。



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2012年8月8日水曜日

第27回 初めて2級の請求

障害年金について、障害認定日請求と事後重症請求を見てきました。
次は、初めて2級の請求というものを見ます。
・・・が、ややこれは特殊なケースなので、概略のみお話します。
必要以上に話すと、かえって分かり難くなりますからね。

障害年金での障害等級、つまり障害年金をもらえる障害等級は3級まで
(障害基礎年金は、2級まで)しかありません。重い方から1級・2級・3級です。

障害と言っても、必ず一度に障害状態になるとは限りませんし
同じ病気や原因で、障害状態になるとも限りません。
こういった場合の障害年金の請求方法の一つが、今回の「初めて2級の請求」です。

3級程度、或いは3級より軽い障害状態である方が、その障害の原因となった
傷病とは別の傷病でも障害状態になって、最初と後の障害状態を合わせると
全体としての障害状態は、2級以上に該当するというパターンになります。

この場合、後の方の障害での初診日に加入していた年金制度から
障害年金が支給されることになり、前の方の障害での初診日では
通常のような、年金の加入の条件や保険料の納付条件は問われません。

このパターンの請求では、65歳までに障害状態になっているという事が求められ
請求自体は後の方の障害での障害認定日以降であれば、65歳以降も出来ます。


・・・とまぁ、このようなものです。



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2012年8月5日日曜日

第26回 事後重症請求とは?

前回、障害認定日請求という請求を見ました。
原則として、初診日から1年6ヶ月経過時点の心身の状態で
障害の程度を判断してもらい、障害等級に該当すれば
その時点より障害年金がもらえるという請求のパターンです。

しかし、この時点では障害の程度が軽くて障害等級に該当せずに
障害年金がもらえないような場合があります。
後に症状が悪化して悪くなったというパターンです。

障害認定日に障害等級に該当しないような状態が、
後に悪化して、障害等級に該当するような場合の請求法を
事後重症と言います。簡単に言えば、現在の状態で
障害の程度を判断してもらうという請求の方法です。

これには、ちょうど原則の初診日から1年6ヶ月時点の
障害認定日に医療機関にかかっていない場合や
かなりの年数が経って、その時点のカルテが保存されておらず
障害認定日時点の心身の状態が証明出来ない場合も含みます。

障害認定日時点の状態が証明出来ないか、
その時点では症状が軽かったというような場合に
現在の心身の状態で、障害年金をもらう障害等級にあるか否かを
判断するわけです。

障害認定日請求と事後重症請求の違いは、診断書の作成時期
つまり、どの時点の身体の状態で障害程度を判断してもらうかであり、
前者の場合には、認められれば最大で現在より5年分
まとめて、さかのぼって障害年金がもらえるのに対し
後者の場合には、さかのぼってもらえる事はありません。
当然、前者がもらえる場合には有利なわけですが、
ご説明したような、理由でどうしても障害認定日請求が出来ない場合
この事後重症での障害年金の請求をせざろう得ません。

事後重症の請求を行う場合には、請求日から3ヵ月以内の診断書、
つまり請求書を提出する3ヵ月以内に作成された診断書を用意する
必要があり、障害認定日時点の診断書は不要です。

この事後重症の請求で気をつけたいのは、請求自体が
原則として65歳になると出来なくなるので、65歳までに請求するという点です。



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2012年8月1日水曜日

第25回 障害認定日請求する場合

前のブログの続きで、障害認定日請求をする場合です。

リアルタイムで、現在ちょうど障害認定日時点であれば
現在の状態を書いてある診断書を提出すればいいので、何ら問題ありません。
しかし、障害認定日請求は数年後でもさかのぼての請求が出来ます。
その場合には、どうなるか? というお話です。

その場合には、原則的には障害認定日時点の診断書と現在の診断書2通必要です。

しかし、障害認定日から1年以内に障害年金を請求する場合には、
障害認定日後3ヵ月以内の状態を診断書だけ、提出するといいということになっています。

つまり、障害認定日から1年以上経過しての障害年金の請求の場合に
障害認定日時点と現在の診断書が必要で、2通必要になるわけです。

多くの障害年金の場合、障害認定日から1年以上経過している事が多いので
2通の診断書が必要になるようです。

なお、障害認定日時点の診断書とは、障害認定日後3ヵ月以内の心身の状態を
書き込んだ診断書であり、現在の診断書とは障害年金の請求書一式を
年金事務所で受け付けられた時点から、3ヵ月以内に作成された診断書になります。

書類不備から年金事務所で最終的な受付が出来なくて、現在の状態を書き記した
診断書の作成年月日が3ヵ月を経過すると、その診断書は無効になるために
また、診断書代を支払って現在の状態の診断書を医師に書いてもらうことになるので
障害年金の診断書を、あまり早く書いてもらうと時には、無効になるので
注意が必要で、段取り良く、診断書以外の準備をしておく必要があります。



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第24回 障害認定日請求とは?

障害認定日請求については、前に少し書いたと思いますが
改めて書きます。

一つ前のブログで、障害認定日について書きました。
心身の状態が、障害年金でいう障害等級に該当するか否かを判断する基準日を
障害認定日と言って、原則は初診日から1年6ヶ月経過日ですが、
例外があるということを書いています。

この障害認定日時点の診断書を提出して、障害状態が障害等級に該当すると
認められると、その翌月分から障害年金が請求されることになります。

これがリアルタイムで、現在ちょうど障害認定日の時期ではなくて
初診日から1年6ヶ月経過日に、障害年金のことを知らずに請求していなくて
それから数年後に、この1年6ヶ月時点の診断書を提出出来て、
認められると、現在から5年前まではさかのぼって障害年金をもらうことが出来ます。
請求自体は、数年後でも出来ますが、さかのぼってもらえるのは最大で5年分です。

この5年というのは、時効の関係で最大5年と決まっています。

そして、現在からさかのぼることを遡及と言います。

障害認定日請求とは、初診日から原則1年6ヶ月時点で障害年金を請求すること
とご理解下さい。

あとは次回に続きます。



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第23回 障害認定日とは?

障害認定日、という言葉は障害年金の話ではよく出てきます。
障害年金の請求書にも、書かれている言葉です。

認定とは、審査して認めるという意味で、心身の障害状態が
障害年金で定める障害等級に該当するか否かを判断する日を障害認定日と言います。

障害認定日とは、原則は初診日から1年6ヶ月経過日となっています。
但し、次のような例外があるので注意が必要です。
何故、注意が必要か? と言えば、この障害認定日時点の心身の状態を
判断する材料となる、この時期の診断書が必要になるからです。

1 人工透析を開始して3ヵ月経過日
2 工骨頂・人工関節を挿入置換した日
 人工肛門・新膀胱の造設,尿路変更術を行った日
4 ペースメーカー・人工弁を装着した日
5 肢体の切断・離断した日
6 咽頭全摘出
7 在宅酸素療法開始日
8 症状固定と認められる日     等々

しかし、これらは障害認定日の原則である初診日から1年6ヶ月経過前に
これらに該当した場合に、障害状態が固定化・安定化したと解釈されて
特別に認める、という意味なので、これらの日が初診日から1年6ヶ月経過日よりも
後にある場合には、これらに該当しても障害認定日は、1年6ヶ月経過時点と
なります。 この点も難しい点の一つです。

また、20歳前に障害状態になった場合の障害基礎年金の場合は
20歳になった日と、かなり特別の扱いがされます。

20歳前に障害状態になった場合の障害基礎年金については
扱いが色々と異なりますので、後にお話致します。


今回のポイント

・ 障害認定日は、初診日から1年6ヶ月経過日だが
  例外に該当する日が、それ以前の場合にはそれ以前の該当日
  1年6ヵ月以降であれば、原則通り1年6ヶ月経過日


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2012年7月31日火曜日

第22回 相当因果関係とは?

少し難しくなりますが、今回は相当因果関係というものです。

これは前のケガ・病気があったから、現在の障害状態が起こったという
両者の関係を言います。つまり、前のケガ等と現在の障害状態が
点と点で結ばれて、両者の関係が継続していますというイメージです。

何故、相当因果関係というものが出てくるのか? と言いますと
前にお話した、障害年金での初診日の絡みからです。

現在の障害の状態である原因の病気やケガで初めて医療機関に受診した日
これを初診日と言いましたね。これが同じケガで手術等のために転院した
とかいうのであれば、素人でも分かり易いですが、場合によっては
医師でなければ、因果関係が分からないようなことがありますし
更には医師によって、見解が分かれる、どうとでもとれるような場合もあります。

ですから、この相当因果関係というのは難しくって
これが分からないために、初診日を特定できないというケースも出てきます。
色々な病気やケガがありますから、個別に考えないといけないわけです。

但し、そうは言ってもイチイチ、その度に審査側が検討するのも非効率的なので
最初から、こういう場合には相当因果関係があります、と定めているものがあります。

具体的には、
・ 肝炎と肝硬変の組み合わせ
・ 輸血等で、肝炎を発症した場合
・ 脳血管疾患等で、精神的障害が生じた場合  等々です。

また、逆に相当因果関係なし、と解釈すると定めているものもあります。
高血圧と脳血管出血のような場合です。これは医学的には関連性があります。
高血圧が脳血管出血を引き起こしたのだろうと推定されるからです。
しかし、障害年金の審査上では相当因果関係はないとされます。
何故かと言いますと、確かに脳血管出血の原因の一つに高血圧が挙げられる
だけども、その原因と言えるとまではいきませんよ、という考え方です。
この考え方は、厚生労働省の考え方・解釈ですので、
高血圧で医療機関にかかった日を初診日にして、脳血管出血後の
後遺障害で障害年金を請求すると、両者の相当因果関係はないものとされ
高血圧での初診日は否定されることになります。

少し、難しくなりましたので、この辺で終りにしましょう。

今回のポイント

・ 初診日とは、現在の障害状態と相当因果関係がある
  医療機関で最初に受診した日である!


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2012年7月26日木曜日

第21回 発病日とは?

発病日については、現在では初診日の特定が難しい場合に参考にされます。
(昭和61年3月以前の年金では、発病日時点で年金に加入していなければ
 ならないという、とても重要な日でした。)

・・・とは言え、傷病が発病し、医療機関を受診し初診日という流れになるわけですので
今でも、発病日を確定させることは、とても意味があります。

発病日とは本人が症状を感じた、或いは家族や周囲の方が異常に気付いた日ですが
先天性の傷病等(遺伝性のもの) で、潜在的に傷病があると分かっていても
診察を受けずに、普通に生活していたのであれば、後に自覚症状があったり
検査等で異常が発見されたときを発病日とします。

難しいのは、過去の傷病が治ゆして、後に再び発症したような場合です。
この場合には、再発時点が発病日ということになります。
しかし、治ゆが認められた場合の話であって、治ゆが認められないような場合には
前の同一傷病が、発病した日を発病日とすることもあります。

また、健康診断等で異常が分かった場合、その健康診断日を発病日としますし
交通事故・労働災害等の後遺症の場合には、これらの事故・災害が発生した日を
発病日とします。

初診日同様、発病日がいつなのか? 非常に分かりにくい場合がありますので
場合によっては、主治医の先生に相談された方がいいかもしれません。


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第20回 初診日とは?

障害年金で、初診日とは年金加入の要件と保険料の要件をみる
とても大事な日になります。
初診日に、年金制度に加入して、保険料を一定期間分納めている
というのが、障害年金をもらう条件の基本になります。

初診日については、前に書いたように、初めて医者の診察を受けた日ですが
具体的には、次のような日をさします。

1 同一傷病で転院した場合、一番最初に医師の診察を受けた日
2 傷病が治ゆし、その後再発した場合には、再発後に初めて診察を受けた日
3 健康診断等で異常が発見され、その後診察を受けた場合、診察を受けた日
4 傷病名が確定していなくても、又は誤診等で別の傷病名がついても
  同一傷病では、初めて医師の診察を受けた日
  (よくうつ病などで、このパターンは多いです。最初、内科で別の傷病名がついたとか)
5 障害の原因となった傷病の前に、相当因果関係のある傷病を発症していた場合
  その先の傷病で、初めて医師の診察を受けた日

ということになります。

1の場合は、その傷病の療養期間が長期にわたっている場合にあるパターンです。
2の場合は、治ゆしたのか? 継続なのか? と判断が分かれる、少し難しいパターン。
4の場合は、結構多いパターンです。
5の場合は、これが一番難しいかもしれません。因果関係がある? となりますからね。


今回のポイント

・ 害年金での “初診日” とは、普通に言う
 初診日ではないので
 
   どの日が初診日にあたるのか?
 よく検討しなければならない。


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2012年7月25日水曜日

第19回 障害年金をもらうための3条件

いよいよ、中身に入っていきます。
これがテレビ番組であれば、前置きが長く面白くなくて視聴率低下で打ち切り、
ここまで続かなかったかも? まぁ、ブログですから・・・

障害年金がもらえる条件は、次の3つの条件を満たした場合です。

1 年金制度加入期間中に、初診日がある
  
   但し、国民年金の場合には20歳前に障害状態であったり
   国民年金に加入していなくても、60歳~65歳までに
   初診日があって、国内に在住していれば問題なし!

2 障害認定日に、障害等級に該当している
  
     障害基礎年金では、1級、又は2級
  障害厚生・共済年金では、1級から3級まで

3 年金の保険料を一定期間以上、納めている

と、この3点ですが、これらには前にお話した通りに
例外があります。しかし、例外を先にお話すると
頭が混乱しますので、必要な個所に必要最低限の
例外のご紹介をしていきます。

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2012年7月22日日曜日

第18回 障害年金の額

今回は、もらえるようになったら障害年金っていくら位
もらえるものなの? というお話です。

例によって、難しい個所は概略的な理解でとどめますよ。

まず、障害基礎年金の場合には1級と2級があって
こちらは定額です。今までいくら、年金保険料を納めたか?
どれだけの期間、納めていたのか? は、一切関係ありません。

障害基礎年金の1級が983,100円で、2級が786,500円です。
これは平成24年度の支給額であり、年額になります。
これに対象者がいれば、子の加算がつきます。
1人につき、226,300円で、3人目から1人75,400円です。
ちなみに2級の支給額は、40年間年金の保険料を満額支払った場合の
老齢基礎年金の額です。それを考えると障害基礎年金の支給額は
考慮されていると言えるでしょう。


障害厚生年金では、1級・2級の場合には
同時に障害基礎年金ももらえますので、上記の障害基礎年金の額に
前にお話した報酬比例部分、つまり今までにどの程度の期間に
どの程度、年金保険料を支払ったのか? という実績が
反映された額が上乗せされます。そのために、いくらもらえるのか?
については、今までの年金保険料の納付の記録を年金事務所で
確認しなければ、正確な支給額は分かりませんし、
個人によって大きく、支給額が違ってきます。

また、障害基礎年金にはない障害等級である3級であれば
障害厚生年金の3級分、つまり今までの実績から計算された分しか
もらうことが出来ません。ですから、これも個人により大きく違います。
しかし、このままのルールであれば、障害状態になった時点が
若い場合には、もらえる額が極端に少なくなる可能性もありますので
最低額として、588,9900円は支給しますという風になっています。

1級・2級に該当し、対象者がいれば、配偶者に対する加算額も
つきます。それが、226,300円となっています。


では、最後に障害共済年金についてはどうでしょう。

障害共済年金の支給額の仕組みは、障害厚生年金と同様ですが
報酬比例部分の上に、職域加算という各共済で定めた計算額分が
上乗せされます。そのため、障害共済年金は障害基礎年金単独や
障害厚生年金をもらう方よりも、金額的には多くなります。


今回のポイント

・ 障害基礎年金は、定額で誰がもらっても同じ支給額であり
  障害厚生年金・障害共済年金は、人によって支給額が
  大きく異なる。


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第17回 障害年金の請求を検討して欲しい方

前回、障害年金をもらえる可能性がある人を、ザックリと見ましたが、
今回は、より具体的にこういう方は障害年金をもらえる可能性があるので
請求を今までにしていなかったら、請求を検討下さいという話です。

以下に記した方が、特に障害年金をもらえる可能性がある方です。

・ 先天性の障害をお持ちの方
・ 労働災害や交通事故で、後遺障害の残った方
・ 特定疾患の方
・ 20歳前に障害状態に鳴った方
・ 身体障害者手帳等をお持ちの方(当然、重い障害等級の方が可能性大)

・ うつ病,躁うつ病,統合失調症,アスペルガー症候群,知能障害等で
  日常生活やお仕事を行う上で、支障があるような方
・ 傷病手当金(健康保険制度)を長期にわたり、もらっている方
・ 人工透析を行っている方
・ 人工骨頭・人工関節を挿入置換している方

・ 心臓にペースメーカー,ICD,人工弁を装着している方
・ 人工肛門や新膀胱の造設,尿路変更術をされている方
・ 腕や足を切断されている方
・ 咽頭を摘出されている方
・ 在宅酸素療養をされている方

・ 脳内出血後の後遺症(肢体障害・記憶障害・言語障害等)がある方
・ 記憶障害(高次脳機能障害・アルツハイマー等)がある方
・ 就労支援施設や、デイケア等に通われている方
・ 矯正しても視力が低い,視野が狭い方
・ 言語障害(話が他人に理解しづらいような状態)がある方

以上、障害年金をもらえる可能性が高い方でした。
もちろん、上記に該当しなくても障害の状態によってもらえます。


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2012年7月20日金曜日

第16回 障害年金をもらえる可能性がある人

いよいよ、本題に入ります。今回は、障害年金をもらえる可能性がある人についてです。
あくまで、概略的な話であり、今から具体的な話に入っていくための入り口的な説明です。
次回は、より詳細に障害年金をもらえる可能性がある人をみますので、
次のブログも必ず、ご確認下さい。

障害年金をもらえる可能性がある人です。

1 障害状態である人

前にお話した通り、障害者手帳の所持には関係ありません。
病気やケガの状態が、日常生活やお仕事を行ううえで、何らかの支障や制限が
あるような人という意味です。

2 20歳以上の人
例えば、先天性の障害をお持ちの方でも20歳未満の場合には、障害基礎年金を
もらうことが出来ません。但し、障害厚生・障害共済年金の場合には20歳未満でも
もらうことが出来る場合があります。

 65歳未満の人
65歳を過ぎても障害年金の請求が出来る場合もありますが、原則として65歳を
過ぎると障害年金の請求が出来ません。その理由は、障害の原因となった
病気やケガは高齢になればなるほど、生じやすくなりますし、障害年金の目的は
老齢年金をもらうまでの生活保障の役割を担っているためです。

なお、たまに勘違いされる方がいますので、お話しておきますと
「障害年金をもらう」と我々や年金事務所の方、ネット上で言ったり、書かれていますが
それは現在、何も年金をもらっていない方の場合です。

既に老齢年金をもらわれているような方の場合には、老齢年金と障害年金を両方
もらう事は原則として出来ません。どちらか、有利な方を選ぶという形になります。
たまに、障害年金も老齢年金を同時にもらえると思われている方がいらっしゃいますので
ご注意下さい。但し、65歳を過ぎると老齢年金と障害年金を同時に(・・・と言っても
老齢1+障害1で、2もらえるというわけではありません)もらえる場合もあります。

3 65歳未満の人の説明以降の話は、現時点では難しいかと思います。


何度も繰り返しますが、法律にはほとんどの場合、例外的なルールがあります。
何も書いていないような場合には、原則的なお話をしているものだと思われて下さい。



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2012年7月19日木曜日

第15回 標準報酬額と標準報酬月額とは?

今回は、前回の厚生年金や共済年金にある報酬比例部分の内訳的な話です。
なお、用語の説明もまだまだ必要かと思いますが、前置きが長々となってしまうと
本題になかなか入らないということになりますので、用語の説明は今回で終了し
必要に応じて、お話していきます。


さて、前回のブログでは給料や賞与に応じて年金保険料が決まると書きました。

ざっくり行きますと、標準報酬額とは毎月もらう給料と賞与の額から年金保険料を
決めて、年金保険料を徴収した額になります。一方の標準報酬月額とは単に
毎月の給料から保険料を決め、徴収した額です。

ん? 何が違うの? 2つの言葉に注目! 一方には“月”という一文字が
多く付いていますよね。月額の方が給料だけ年金保険料に反映され、
賞与は全く年金保険料や年金額には反映されないわけです。

これは平成15年3月までは“月”が付かずに、4月以降は付いています。
平成15年4月以降から、賞与に対する年金保険料も将来の年金額に
反映させるようになったというわけです。
そのために実際の年金の計算では、この期間を境に両者の期間を分けて
年金の計算をします。両者各々の厚生年金や共済年金に加入していた期間中に
支払って年金保険料を平均したものを年金の計算のベースにするわけです。
それを平均標準報酬額,平均標準報酬月額と言います。
これが厚生年金や共済年金で出てくる報酬比例部分の内訳になるわけです。

でも、給与や賞与に応じて年金の保険料を徴収すると言いましても
実際には雇用保険の保険料や所得税のように、正確に給与に毎回応じ
変動して納める年金保険料を計算したり、役所に報告するのは大変です。
そこで、例として給与が20万以上30万円未満の場合には、年金保険料は
いくらであり、30万以上40万未満の場合には、いくらという風に
給与をその額に応じて、いくつかに区切ってあり、それに対する保険料を
予め定めておく、という方法を実際には採用してあります。

ん? 段々分かりにくくなってきましたね。 この辺で止めておくのが無難でしょうか。


今回のポイント

・ 厚生・共済年金の報酬比例部分の内訳には
 標準報酬額部分と標準報酬月額部分があり、
 実際の年金の計算では、各々の期間の平均額を
 出したものを元に計算される。



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第14回 報酬比例部分とは?

今回の報酬比例部分とは、お勤めされている方が加入されている
厚生年金や共済年金で出てくる用語になります。

前に国民年金は自賠責保険で、厚生年金や共済年金はその上乗せの
民間の自動車保険みたいなものです、とお話しました。
復習ですが、厚生年金や共済年金に加入している方の場合には
同時に国民年金にも加入しているという形に現在、なっています。

ですから、厚生年金も共済年金もその年金には、2つの部分があります。
国民年金に加入している部分というのが、定額部分と言われるもので
その上乗せ部分になっている部分が、報酬比例部分と言われるものです。

既にご存知のように、厚生・共済年金の場合の保険料は
毎月の給与や賞与から、その支給額に応じて決定されています。
もらう給与が高ければ、それだけ年金保険料も高くなる仕組みです。
ですから、当然給与、年収が多い人ほど、この報酬比例部分は多くなります。

この報酬比例部分は、1点で見れば上記の説明でいいのですが
厚生年金や共済年金、つまりお勤めをずっとされているわけですから
この報酬比例部分とは、もう少し正確に言えば厚生年金や共済年金への
加入期間とその間にもらっていた給与に応じて支払った年金保険料の額に
よって、構成される部分です。

一方の定額部分というのは、単に厚生年金や共済年金に加入していた
期間のみが反映されるという形になっています。

但し、この定額部分と言うのは実は障害年金の話では一切出てきません。
定額部分は、老齢厚生年金や退職共済年金だけに関係します。
でも、報酬比例部分の方だけは障害年金の話には出てくるわけです。


今回のポイント

・ 報酬比例部分とは、厚生年金・共済年金に
  加入していた期間中に、給与や賞与に応じて
  支払った保険料が、障害年金に反映される部分!

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2012年7月18日水曜日

第13回 障害認定日請求とは?

今回は障害認定日請求についての説明です。

前に書いた通り、初診日から原則として1年6ヶ月時点の心身の状態での
障害年金の請求のことを言います。また、これを本来請求とも言います。

この障害認定日時点で、障害年金の障害等級に該当すると認められれば
障害認定日の翌月分から、障害年金がもらえる形になります。

またこの時点での請求をリアルタイムで行わずに、数年経過して請求することも
この時点での診断書が書けて、提出出来れば可能です。
但し、年金をもらう権利は5年を過ぎると無くなってしまうために
さかのぼって認められても、最大で5年分までしかもらえません。

しつこく言いますが、この初診日から1年6ヶ月時点というのは原則であり
例外がありますので、注意が必要です。例外については後に書きます。


何故? 初診日から1年6ヶ月時点を一つの判断の基準日とするのか?
について、疑問を持たれる方が、いらっしゃいます。

これは1年6ヶ月程度、経過するとおおよそ病状が安定すると
国が解釈している、様子見の期間と考えられて結構です。
健康保険の制度で病気やケガでお仕事が出来ない場合に
傷病手当金という、給料の約6割の生活保障を受けられる制度があります。
この手当金がもらえるのが、1年6ヶ月までであり、それ以降は打ち切りになります。
では、その後どうするのか? という所で、障害年金の請求をしてもらうという形で
健康保険の傷病手当金と障害年金の制度はリンクしています。
詳しくは書きませんが、労災での保障でも1年6ヶ月で支給される保険給付が
変更になる場合があります。これも、やはり1年6ヶ月でリンクしているのです。

こう考えて下さい。
健康保険は、プライベートのケガや病気の保険
労災保険は、お仕事絡みでのケガや病気の保険
障害年金は、プライベートやお仕事等の病気やケガの原因に関わらず
障害状態が継続した場合の保険 だと。

つまり、同じケガや病気であっても、各々の法律と言う選手が
守っている守備範囲が違っているが、各々のフィールド外の保障は
別の選手(法律)にお任せしているというイメージで結構です。


今回のポイント

障害認定日請求とは、原則として初診日から1年6ヶ月時点の
心身の状態を診断書等で証明して、その時点で障害状態に
該当するか、否かを審査してもらう障害年金の請求方法である!


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第12回 障害認定日とは?

今回は、障害認定日についての説明です。


簡単に言いますと、心身の状態が障害年金で定める障害等級に
該当するか否かを判断する日ということです。

ですから、この時点の診断書を主治医に作成してもらって、
その時点の心身の状態がどうだったのか?を証明しなくてはなりません。


原則的には、初診日から1年6ヶ月経過時点になります。
(初診日が起点になりますので、初診日を確定させることはココでも必要です。)
但し、1年6ヶ月経過しなくても心身の状態が固定化して、
現状では良くも悪くもならないだろうと判断された場合には
その症状が固定した日が、障害認定日になります。
症状の固定についての判断は、主治医がされることになりますが
一つの考え方としては、肢体の障害等の場合ですと
身体障害者手帳の交付の申請をする時点を固定した日と考えられる医師がいます。

1年6ヶ月経過する前に症状が固定した日があれば、その日と
例外的な扱いをご紹介しましたが、面倒なことにこの障害認定日にも
その他にいくつか例外的な扱いをするものがあります。

でも、一度に紹介すると混乱しますので、いずれ例外的なものを
ご紹介することにしますが、もう一つだけよく出てくる例外的な
扱いをご紹介します。これは重要です。

障害年金では、障害の原因を問いません。交通事故や労働災害で
後遺症として障害が残った場合もあれば、先天性の障害の場合でも
請求して、認められれば障害年金をもらうことが出来ます。

例外というのは、主に先天性の障害について適用されることが多く、
20歳前に上記の初診日から1年6ヶ月時点(又は症状固定日)があれば、
障害認定日を20歳になった日とするという例外です。
もちろん、先天性の障害以外でも20歳前に障害状態になれば
この例外が使えることがあります。

これは国民年金の場合には、20歳にならないと年金制度に
加入することが出来ないので、障害年金を出すわけにはいかないという理屈です。
ですから、20歳時点を障害認定日とする扱いは、国民年金だけの場合です。
厚生・共済年金は、中学・高校を卒業して、就職すれば加入出来ますからね。

今回は、ここまでで次回に続きます。


今回のポイント

・ 障害認定日とは、心身の状態を判断する日である。


熊本で、障害年金の相談・請求代行
松永社会保険労務士事務所
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2012年7月17日火曜日

第11回 初診日とは?

我々が年金の相談を受ける際には、出来るだけ専門用語を使わないようにしています。
他の言い回しで説明できるものについては、言い方を変えるのですが
どうしても、元々の専門用語というのは名前が決まっているので、
専門用語を使わざ得ません。そこで、障害年金で出てくる用語を見ていきます。

・ 初診日
  この用語が、通常使われる意味とは大きく異なりますので、注意が必要です。
  通常は、ある病気でその医療機関にかかった最初の日をさしますし、
  風邪でかかっていた場合、お薬を3日分もらって帰って、それから1週間程
  病院に行かなかったら、一度治ったものとされ、また初診日とみなされて
  初診料を支払わなくてはいけません。これは我々が日常的に経験していることです。


  しかし、障害年金での初診日とは、障害の原因となった傷病を発症し
  初めて医師の診察を受けた日という意味です。
  具体的にお話しますと、例えば現在の病気で障害年金で請求する傷病はうつ病です。
  でもうつ病の場合には、多くの場合は精神的な病気であると分からずに、
  専門の精神科や心療内科等のメンタルヘルスを扱う診療科を受診されていないことが
  多く、頭痛や不眠,腰痛,吐き気等々の様々な身体症状のために
  内科や外科、或いは更年期障害と思われて産婦人科等を受診されます。
  ここでうつ病の症状が出ているので、この頭痛等で最初に医療機関で受診した日が
  障害年金でいう初診日となります。

  ですから、今かかっている医療機関に最初からかかっているという方は簡単ですが
  かなり前にかかった病院がそれにあたる場合には、いつ頃症状を感じたか、
  病気が分かったか、ケガをしたかを考えたうえで、初診日がいつなのかを
  決めなくてはいけません。

  
  それから、初めて医療機関にその症状が出てからかかった日と言いましたが
  そのかかった病院で、例えば違う病名を言われたり、病名が確定出来なくても
  そこでついた病名が、今の傷病名と関係するものであれば、病名にこだわる
  必要はありません。このあたりも、実は難しい点です。

  この障害年金で言う初診日の意味をよく理解されていない医師がいますので、
  診断書等の書類を作成してもらう際には十分ご注意下さい。


  また前にお話しました通り、法律ですから例外的なものがいくつかあります。
  上記のものは原則ですので、いずれ例外的なものもご紹介していきます。
  一度に何でも言うと、かえって分かり難いでしょうし、何でもそうです。
  原則あっての例外であり、基礎あっての応用です。

  ゆっくりマスターして行きましょう。


今回のポイント

・ 障害年金で言う“初診日”とは、通常使っている
 “初診日”とは意味するものが違っている!


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2012年7月16日月曜日

第10回 障害年金の請求の種類と仲間たち

今回は、障害年金の請求の種類と仲間たちという内容です。
少しずつ難しくなりますので、1回分だけ読まれても分かり難いかもしもしれませんが、
読み進めていけば、話がつながっていきますので、前後のブログをお読み下さい。

障害年金の請求代行業を行う社会保険労務士がいるように
実は障害年金の請求は、ケースによって難しくなります
そのケースとは、個人個人の状況によって異なりますので、
請求が簡単な場合もあれば、複雑で手間ヒマかかるような面倒な場合があります。
それは、以下のように障害年金の請求の方法がいくつもあるからです。

1 本来支給の障害年金の請求パターン
このパターンの請求は、いわば原則的なパターンで一番簡単なものです。    
障害状態を判断する(診断書を書いてもらう)時期が、障害認定日という
基準点(通常、初診日から1年6ヶ月時点)のものです。

2 事後重症の障害年金の請求パターン
このパターンの請求が、一番多いパターンです。障害状態を判断する時期が
障害認定日ではなく、現在であるというものです。1の原則では請求出来ない
そういった場合の請求で、具体的には障害認定日には障害状態が障害等級に

該当しない程度で軽くて、後に重くなったという場合や、障害認定日時点では
ちょうど通院していない、もしくは検査等をしていないためにその時点での
診断書が書いてもらえない場合になります。

既に障害認定日を過ぎていて、診断書に障害認定日の時点と現在の時点での
心身の状態を書いてもらって、2の請求と同時に1の請求も行う事が実際には
多くて、その際に前の障害認定日時点で障害等級に該当すると認められれば、

過去5年間までは、さかのぼって障害年金をもらえることが出来ますし、
障害認定日時点では認められない場合には、さかのぼってはもらえません。

この事後重症というパターンの場合には、65歳の前日までに障害状態に該当
しなくてはいけないという年齢制限があります。

3  基準障害での障害年金の請求パターン
これは複数の傷病があった場合に、それぞれでは障害年金で定める障害等級に
該当しない状態であるけれども、身体全体の状態を考えれば障害等級に該当する
という請求のパターンで、やはり2同様に65歳の前日までに、という条件がつきます。

4  20歳前障害での障害年金の請求パターン
20歳になる前の年金制度に加入していなかった時期に、初診日があって
障害等級に該当する障害状態である場合の請求パターンです。
この請求パターンがあるのは、障害基礎年金だけで障害厚生・共済年金では
ありません。障害基礎年金独自のものということです。

この請求で大変なのでは、過去にさかのぼって請求するので色々な証明を行うことです。
どうしても、請求するのに手間jヒマかかります。

代表的な障害年金の請求パターンを見てきましたが、実は他にもいくつかあります。
非常にレアな請求のパターンであり、年金の法律の過去の改正と大きく絡んでいます。
要するに、改正により不利にならないような配慮から、いくつかの請求パターンが
存在しているということです。

但し、1~4以外の請求に該当する方は実際には少なく、それを知っておく必要は
普通はありません。そこまで話が進むと難しくなりますからね。


最後に障害年金の仲間たちについて

障害年金をもらえないような場合に、障害年金の仲間と言いますか
関連したものがもらえます。簡単に概要だけ、ご紹介します。

1 障害手当金
初診日から5年以内に、傷病が治り(症状が固定化した等)障害年金での
障害等級3級よりも軽い障害状態である場合にもらえます。
年金ではなく、一回ポッキリの一時金になります。

2 特別障害給付金
これは専業主婦や学生の場合には、以前の法律では国民年金に加入するのも
現在のように義務ではなく、任意加入でした。ですので、加入が義務付けられた
以前の専業主婦や学生では、年金の保険料を一定分納めたという条件を満たさず
障害年金がもらえないので、障害年金よりも支給額は少ないのですが支給されます。
但し、これは障害基礎年金との関連から、障害状態が1級・2級程度の方に
限られるものです。

少しずつ、難しくなってきましたので、次回は障害年金の話の中でよく出てくる
専門用語についての説明を行います。


今回のポイント
・ 障害年金には請求方法がいくつもある!
・ 障害年金がもらえなくても、もらえる(仲間)がある!

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2012年7月15日日曜日

第9回 障害年金の種類

今回は、障害年金の種類についてです。

障害年金には、3つの種類があります。
障害基礎年金・障害厚生年金・障害共済年金です。

これは、初診日にどの年金制度に加入していたかによって分けられます。
普通の保険で考えると、どの保険会社に入っているのか?
というイメージです。しかし、分かり難いのは障害基礎年金です。

障害基礎年金だけもらう人と、障害基礎年金と同時に障害厚生年金や
障害共済年金をもらう人がいます

国民年金というのは、国民が一定年齢であれば必ず加入することに
なっています。ですから、お勤めをされている方も勤務先で
厚生年金や共済年金に加入していても、同時に国民年金にも加入しています。
自動車保険に例えると、国民年金が自賠責保険であり
厚生年金や共済年金が、その上乗せ部分の民間の保険会社の保険
という風に考えるとイメージ出来るのではないでしょうか?

ん? 国民年金には、上乗せ部分はないのか?と言いますと
国民年金基金というのがありますが、障害年金では直接関係ありません。

では話を戻して、障害基礎年金だけをもらえる人とそうでない人がいる
と言いましたが、具体的に見ていきます。

障害基礎年金では、障害等級は1級と2級があります。
対して、障害厚生年金・障害共済年金では3級もあります。
つまり、障害厚生年金や障害共済年金の方が、保障の幅が広いわけです。
そして、この1級・2級という障害等級は、障害基礎も厚生・共済も同じです。

そのため、障害厚生年金・共済1級・2級に該当する障害状態であれば、
同時に国民年金にも加入している形になっているので、
障害厚生・共済年金の1級・2級分と障害基礎年金の1級・2級分がもらえます。
でも、初診日に国民年金の人の場合には1級・2級に該当しても
国民年金に入っている人は、厚生・共済年金には入っていないので
障害基礎年金の1級・2級しかもらえませんので、
障害年金の1級・2級と言っても、障害基礎年金単独での1級・2級と
障害基礎+障害厚生・共済年金での1級・2級ではもらえる額が大きく違います。

不公平に思えるかも知れませんが、実は厚生年金や共済年金に
加入している方の方が保険料を国民年金の方よりも支払っています。
(もっとも、支払っている保険料の半分は事業所側が支払ってくれているので

 お勤めされている方は、その点では有利と言うか、優遇されていますよね。)

最後に、障害厚生・共済年金の障害等級には1級から3級まであると
前に書いています。もし、3級の障害状態の場合にはどうなるのでしょう?
そうです。障害基礎年金では、1級と2級だけしかありませんので、
障害厚生・共済年金の3級部分だけの支給になります。
障害基礎年金が、こちらにはつきませんので1級・2級と比べると
やはり、金額的には少なくなってきます。
もちろん、障害基礎年金だけしかもらえない初診日に国民年金の方は
障害基礎年金では、1級と2級しかありませんので、
障害状態が3級であると判断されれば、残念ながら何ももらえません。

今回のポイント

・ 1級・2級の場合には、障害基礎年金だけもらう人と
  障害基礎年金と障害厚生、又は障害共済年金を 同時にもらえる人がいる。
・ 3級の場合には、障害厚生年金、又は障害共済年金しかもらえない。  

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2012年7月12日木曜日

第8回 年金保険料の未納問題

前回、年金の概略をお話しましたので、
今回は横道にそれて、年金の保険料の未納問題について。

年金の保険料の未納問題について、マスコミは強調して報道します。
納付率は、約6割を切るという、この数字だけが皆さんの頭に残ります。

しかし、これはあくまで国民年金の保険料の納付率です。
お勤めされている方の厚生年金や共済年金の保険料の納付率は
含まれておらずに、年金制度全ての年金保険料の納付率ではありません。
近年、景気の悪化で自営の方は減少傾向にありますし、
お勤めされている方の方が、圧倒的に多いというイメージは持たれるでしょう。
年金制度全体で見た場合の年金保険料の納付率は、9割以上あります!


国民年金と言うと、前回書きましたように自営業者や専業主婦・学生
或いは、お仕事を辞められて求職中という方ですね。
専業主婦の場合で、配偶者が事業所等に勤務して扶養に入っていれば
自ら、保険料を納める必要はありませんが、
その他の国民年金の方を考えるとどうでしょう?
現在のように景気が悪いと、自営業の方も生活が厳しいし
お仕事を辞められて失業中の方が保険料を納めるのはキツイ。
健康保険の保険料を、もしケガや病気になったら・・・と
どうしても年金の保険料よりも優先します。

すると、やっぱり国民年金の保険料の納付率は下がってしまいます。

国民健康保険の保険料と言うのは、前年の所得に応じて
保険料が設定されますけれど、国民年金の保険料は一律
いくらなんですからね。現在、約1万5千円ですが、やっぱり
毎月支払うとなると、負担になるのは間違いありません。
(そのために、国民年金では免除制度があって、申請すれば
  保険料は一定割合、安く納めることが出来ますが、
  当然、満額納めるのと比べると、マイナス面があります。)

社会保険の財源不足が叫ばれており、その中で深刻なのが
健康保険の財源であり、中でも市町村が運営する国民健康保険は
本当に厳しいのです。

だって、市町村の運営という器は大きいのですが
国民健康保険には、定年で会社を退職した人等がどんどん入ってきて
市町村に保険料を納めた実績が少ないにも関わらず、
年齢的に医療機関に受診する率は、多くなるわけですからね。

このように、器を大きくすると対象者が広くなって
例えば、所得にしても高い人から低い人まで幅がでるために
全体数を分母、保険料を納付している人を分子とすると
どうしても、保険料の納付率は下がってしまいます。


また、厚生年金や共済年金のように、給料から毎月天引きされる
という事が、国民年金の場合には出来ませんので、
これが国民年金や国民健康保険の保険料の納付率が低い理由の一つです。
税金の徴収等も、似たような感じです。

話を戻します。


今回のポイント

・ 年金制度全体の納付率はまだまだ高く
 
 年金制度は厳しいながらも、崩壊はしない。



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