2012年7月31日火曜日

第22回 相当因果関係とは?

少し難しくなりますが、今回は相当因果関係というものです。

これは前のケガ・病気があったから、現在の障害状態が起こったという
両者の関係を言います。つまり、前のケガ等と現在の障害状態が
点と点で結ばれて、両者の関係が継続していますというイメージです。

何故、相当因果関係というものが出てくるのか? と言いますと
前にお話した、障害年金での初診日の絡みからです。

現在の障害の状態である原因の病気やケガで初めて医療機関に受診した日
これを初診日と言いましたね。これが同じケガで手術等のために転院した
とかいうのであれば、素人でも分かり易いですが、場合によっては
医師でなければ、因果関係が分からないようなことがありますし
更には医師によって、見解が分かれる、どうとでもとれるような場合もあります。

ですから、この相当因果関係というのは難しくって
これが分からないために、初診日を特定できないというケースも出てきます。
色々な病気やケガがありますから、個別に考えないといけないわけです。

但し、そうは言ってもイチイチ、その度に審査側が検討するのも非効率的なので
最初から、こういう場合には相当因果関係があります、と定めているものがあります。

具体的には、
・ 肝炎と肝硬変の組み合わせ
・ 輸血等で、肝炎を発症した場合
・ 脳血管疾患等で、精神的障害が生じた場合  等々です。

また、逆に相当因果関係なし、と解釈すると定めているものもあります。
高血圧と脳血管出血のような場合です。これは医学的には関連性があります。
高血圧が脳血管出血を引き起こしたのだろうと推定されるからです。
しかし、障害年金の審査上では相当因果関係はないとされます。
何故かと言いますと、確かに脳血管出血の原因の一つに高血圧が挙げられる
だけども、その原因と言えるとまではいきませんよ、という考え方です。
この考え方は、厚生労働省の考え方・解釈ですので、
高血圧で医療機関にかかった日を初診日にして、脳血管出血後の
後遺障害で障害年金を請求すると、両者の相当因果関係はないものとされ
高血圧での初診日は否定されることになります。

少し、難しくなりましたので、この辺で終りにしましょう。

今回のポイント

・ 初診日とは、現在の障害状態と相当因果関係がある
  医療機関で最初に受診した日である!


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2012年7月26日木曜日

第21回 発病日とは?

発病日については、現在では初診日の特定が難しい場合に参考にされます。
(昭和61年3月以前の年金では、発病日時点で年金に加入していなければ
 ならないという、とても重要な日でした。)

・・・とは言え、傷病が発病し、医療機関を受診し初診日という流れになるわけですので
今でも、発病日を確定させることは、とても意味があります。

発病日とは本人が症状を感じた、或いは家族や周囲の方が異常に気付いた日ですが
先天性の傷病等(遺伝性のもの) で、潜在的に傷病があると分かっていても
診察を受けずに、普通に生活していたのであれば、後に自覚症状があったり
検査等で異常が発見されたときを発病日とします。

難しいのは、過去の傷病が治ゆして、後に再び発症したような場合です。
この場合には、再発時点が発病日ということになります。
しかし、治ゆが認められた場合の話であって、治ゆが認められないような場合には
前の同一傷病が、発病した日を発病日とすることもあります。

また、健康診断等で異常が分かった場合、その健康診断日を発病日としますし
交通事故・労働災害等の後遺症の場合には、これらの事故・災害が発生した日を
発病日とします。

初診日同様、発病日がいつなのか? 非常に分かりにくい場合がありますので
場合によっては、主治医の先生に相談された方がいいかもしれません。


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第20回 初診日とは?

障害年金で、初診日とは年金加入の要件と保険料の要件をみる
とても大事な日になります。
初診日に、年金制度に加入して、保険料を一定期間分納めている
というのが、障害年金をもらう条件の基本になります。

初診日については、前に書いたように、初めて医者の診察を受けた日ですが
具体的には、次のような日をさします。

1 同一傷病で転院した場合、一番最初に医師の診察を受けた日
2 傷病が治ゆし、その後再発した場合には、再発後に初めて診察を受けた日
3 健康診断等で異常が発見され、その後診察を受けた場合、診察を受けた日
4 傷病名が確定していなくても、又は誤診等で別の傷病名がついても
  同一傷病では、初めて医師の診察を受けた日
  (よくうつ病などで、このパターンは多いです。最初、内科で別の傷病名がついたとか)
5 障害の原因となった傷病の前に、相当因果関係のある傷病を発症していた場合
  その先の傷病で、初めて医師の診察を受けた日

ということになります。

1の場合は、その傷病の療養期間が長期にわたっている場合にあるパターンです。
2の場合は、治ゆしたのか? 継続なのか? と判断が分かれる、少し難しいパターン。
4の場合は、結構多いパターンです。
5の場合は、これが一番難しいかもしれません。因果関係がある? となりますからね。


今回のポイント

・ 害年金での “初診日” とは、普通に言う
 初診日ではないので
 
   どの日が初診日にあたるのか?
 よく検討しなければならない。


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2012年7月25日水曜日

第19回 障害年金をもらうための3条件

いよいよ、中身に入っていきます。
これがテレビ番組であれば、前置きが長く面白くなくて視聴率低下で打ち切り、
ここまで続かなかったかも? まぁ、ブログですから・・・

障害年金がもらえる条件は、次の3つの条件を満たした場合です。

1 年金制度加入期間中に、初診日がある
  
   但し、国民年金の場合には20歳前に障害状態であったり
   国民年金に加入していなくても、60歳~65歳までに
   初診日があって、国内に在住していれば問題なし!

2 障害認定日に、障害等級に該当している
  
     障害基礎年金では、1級、又は2級
  障害厚生・共済年金では、1級から3級まで

3 年金の保険料を一定期間以上、納めている

と、この3点ですが、これらには前にお話した通りに
例外があります。しかし、例外を先にお話すると
頭が混乱しますので、必要な個所に必要最低限の
例外のご紹介をしていきます。

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2012年7月22日日曜日

第18回 障害年金の額

今回は、もらえるようになったら障害年金っていくら位
もらえるものなの? というお話です。

例によって、難しい個所は概略的な理解でとどめますよ。

まず、障害基礎年金の場合には1級と2級があって
こちらは定額です。今までいくら、年金保険料を納めたか?
どれだけの期間、納めていたのか? は、一切関係ありません。

障害基礎年金の1級が983,100円で、2級が786,500円です。
これは平成24年度の支給額であり、年額になります。
これに対象者がいれば、子の加算がつきます。
1人につき、226,300円で、3人目から1人75,400円です。
ちなみに2級の支給額は、40年間年金の保険料を満額支払った場合の
老齢基礎年金の額です。それを考えると障害基礎年金の支給額は
考慮されていると言えるでしょう。


障害厚生年金では、1級・2級の場合には
同時に障害基礎年金ももらえますので、上記の障害基礎年金の額に
前にお話した報酬比例部分、つまり今までにどの程度の期間に
どの程度、年金保険料を支払ったのか? という実績が
反映された額が上乗せされます。そのために、いくらもらえるのか?
については、今までの年金保険料の納付の記録を年金事務所で
確認しなければ、正確な支給額は分かりませんし、
個人によって大きく、支給額が違ってきます。

また、障害基礎年金にはない障害等級である3級であれば
障害厚生年金の3級分、つまり今までの実績から計算された分しか
もらうことが出来ません。ですから、これも個人により大きく違います。
しかし、このままのルールであれば、障害状態になった時点が
若い場合には、もらえる額が極端に少なくなる可能性もありますので
最低額として、588,9900円は支給しますという風になっています。

1級・2級に該当し、対象者がいれば、配偶者に対する加算額も
つきます。それが、226,300円となっています。


では、最後に障害共済年金についてはどうでしょう。

障害共済年金の支給額の仕組みは、障害厚生年金と同様ですが
報酬比例部分の上に、職域加算という各共済で定めた計算額分が
上乗せされます。そのため、障害共済年金は障害基礎年金単独や
障害厚生年金をもらう方よりも、金額的には多くなります。


今回のポイント

・ 障害基礎年金は、定額で誰がもらっても同じ支給額であり
  障害厚生年金・障害共済年金は、人によって支給額が
  大きく異なる。


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第17回 障害年金の請求を検討して欲しい方

前回、障害年金をもらえる可能性がある人を、ザックリと見ましたが、
今回は、より具体的にこういう方は障害年金をもらえる可能性があるので
請求を今までにしていなかったら、請求を検討下さいという話です。

以下に記した方が、特に障害年金をもらえる可能性がある方です。

・ 先天性の障害をお持ちの方
・ 労働災害や交通事故で、後遺障害の残った方
・ 特定疾患の方
・ 20歳前に障害状態に鳴った方
・ 身体障害者手帳等をお持ちの方(当然、重い障害等級の方が可能性大)

・ うつ病,躁うつ病,統合失調症,アスペルガー症候群,知能障害等で
  日常生活やお仕事を行う上で、支障があるような方
・ 傷病手当金(健康保険制度)を長期にわたり、もらっている方
・ 人工透析を行っている方
・ 人工骨頭・人工関節を挿入置換している方

・ 心臓にペースメーカー,ICD,人工弁を装着している方
・ 人工肛門や新膀胱の造設,尿路変更術をされている方
・ 腕や足を切断されている方
・ 咽頭を摘出されている方
・ 在宅酸素療養をされている方

・ 脳内出血後の後遺症(肢体障害・記憶障害・言語障害等)がある方
・ 記憶障害(高次脳機能障害・アルツハイマー等)がある方
・ 就労支援施設や、デイケア等に通われている方
・ 矯正しても視力が低い,視野が狭い方
・ 言語障害(話が他人に理解しづらいような状態)がある方

以上、障害年金をもらえる可能性が高い方でした。
もちろん、上記に該当しなくても障害の状態によってもらえます。


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2012年7月20日金曜日

第16回 障害年金をもらえる可能性がある人

いよいよ、本題に入ります。今回は、障害年金をもらえる可能性がある人についてです。
あくまで、概略的な話であり、今から具体的な話に入っていくための入り口的な説明です。
次回は、より詳細に障害年金をもらえる可能性がある人をみますので、
次のブログも必ず、ご確認下さい。

障害年金をもらえる可能性がある人です。

1 障害状態である人

前にお話した通り、障害者手帳の所持には関係ありません。
病気やケガの状態が、日常生活やお仕事を行ううえで、何らかの支障や制限が
あるような人という意味です。

2 20歳以上の人
例えば、先天性の障害をお持ちの方でも20歳未満の場合には、障害基礎年金を
もらうことが出来ません。但し、障害厚生・障害共済年金の場合には20歳未満でも
もらうことが出来る場合があります。

 65歳未満の人
65歳を過ぎても障害年金の請求が出来る場合もありますが、原則として65歳を
過ぎると障害年金の請求が出来ません。その理由は、障害の原因となった
病気やケガは高齢になればなるほど、生じやすくなりますし、障害年金の目的は
老齢年金をもらうまでの生活保障の役割を担っているためです。

なお、たまに勘違いされる方がいますので、お話しておきますと
「障害年金をもらう」と我々や年金事務所の方、ネット上で言ったり、書かれていますが
それは現在、何も年金をもらっていない方の場合です。

既に老齢年金をもらわれているような方の場合には、老齢年金と障害年金を両方
もらう事は原則として出来ません。どちらか、有利な方を選ぶという形になります。
たまに、障害年金も老齢年金を同時にもらえると思われている方がいらっしゃいますので
ご注意下さい。但し、65歳を過ぎると老齢年金と障害年金を同時に(・・・と言っても
老齢1+障害1で、2もらえるというわけではありません)もらえる場合もあります。

3 65歳未満の人の説明以降の話は、現時点では難しいかと思います。


何度も繰り返しますが、法律にはほとんどの場合、例外的なルールがあります。
何も書いていないような場合には、原則的なお話をしているものだと思われて下さい。



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2012年7月19日木曜日

第15回 標準報酬額と標準報酬月額とは?

今回は、前回の厚生年金や共済年金にある報酬比例部分の内訳的な話です。
なお、用語の説明もまだまだ必要かと思いますが、前置きが長々となってしまうと
本題になかなか入らないということになりますので、用語の説明は今回で終了し
必要に応じて、お話していきます。


さて、前回のブログでは給料や賞与に応じて年金保険料が決まると書きました。

ざっくり行きますと、標準報酬額とは毎月もらう給料と賞与の額から年金保険料を
決めて、年金保険料を徴収した額になります。一方の標準報酬月額とは単に
毎月の給料から保険料を決め、徴収した額です。

ん? 何が違うの? 2つの言葉に注目! 一方には“月”という一文字が
多く付いていますよね。月額の方が給料だけ年金保険料に反映され、
賞与は全く年金保険料や年金額には反映されないわけです。

これは平成15年3月までは“月”が付かずに、4月以降は付いています。
平成15年4月以降から、賞与に対する年金保険料も将来の年金額に
反映させるようになったというわけです。
そのために実際の年金の計算では、この期間を境に両者の期間を分けて
年金の計算をします。両者各々の厚生年金や共済年金に加入していた期間中に
支払って年金保険料を平均したものを年金の計算のベースにするわけです。
それを平均標準報酬額,平均標準報酬月額と言います。
これが厚生年金や共済年金で出てくる報酬比例部分の内訳になるわけです。

でも、給与や賞与に応じて年金の保険料を徴収すると言いましても
実際には雇用保険の保険料や所得税のように、正確に給与に毎回応じ
変動して納める年金保険料を計算したり、役所に報告するのは大変です。
そこで、例として給与が20万以上30万円未満の場合には、年金保険料は
いくらであり、30万以上40万未満の場合には、いくらという風に
給与をその額に応じて、いくつかに区切ってあり、それに対する保険料を
予め定めておく、という方法を実際には採用してあります。

ん? 段々分かりにくくなってきましたね。 この辺で止めておくのが無難でしょうか。


今回のポイント

・ 厚生・共済年金の報酬比例部分の内訳には
 標準報酬額部分と標準報酬月額部分があり、
 実際の年金の計算では、各々の期間の平均額を
 出したものを元に計算される。



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第14回 報酬比例部分とは?

今回の報酬比例部分とは、お勤めされている方が加入されている
厚生年金や共済年金で出てくる用語になります。

前に国民年金は自賠責保険で、厚生年金や共済年金はその上乗せの
民間の自動車保険みたいなものです、とお話しました。
復習ですが、厚生年金や共済年金に加入している方の場合には
同時に国民年金にも加入しているという形に現在、なっています。

ですから、厚生年金も共済年金もその年金には、2つの部分があります。
国民年金に加入している部分というのが、定額部分と言われるもので
その上乗せ部分になっている部分が、報酬比例部分と言われるものです。

既にご存知のように、厚生・共済年金の場合の保険料は
毎月の給与や賞与から、その支給額に応じて決定されています。
もらう給与が高ければ、それだけ年金保険料も高くなる仕組みです。
ですから、当然給与、年収が多い人ほど、この報酬比例部分は多くなります。

この報酬比例部分は、1点で見れば上記の説明でいいのですが
厚生年金や共済年金、つまりお勤めをずっとされているわけですから
この報酬比例部分とは、もう少し正確に言えば厚生年金や共済年金への
加入期間とその間にもらっていた給与に応じて支払った年金保険料の額に
よって、構成される部分です。

一方の定額部分というのは、単に厚生年金や共済年金に加入していた
期間のみが反映されるという形になっています。

但し、この定額部分と言うのは実は障害年金の話では一切出てきません。
定額部分は、老齢厚生年金や退職共済年金だけに関係します。
でも、報酬比例部分の方だけは障害年金の話には出てくるわけです。


今回のポイント

・ 報酬比例部分とは、厚生年金・共済年金に
  加入していた期間中に、給与や賞与に応じて
  支払った保険料が、障害年金に反映される部分!

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2012年7月18日水曜日

第13回 障害認定日請求とは?

今回は障害認定日請求についての説明です。

前に書いた通り、初診日から原則として1年6ヶ月時点の心身の状態での
障害年金の請求のことを言います。また、これを本来請求とも言います。

この障害認定日時点で、障害年金の障害等級に該当すると認められれば
障害認定日の翌月分から、障害年金がもらえる形になります。

またこの時点での請求をリアルタイムで行わずに、数年経過して請求することも
この時点での診断書が書けて、提出出来れば可能です。
但し、年金をもらう権利は5年を過ぎると無くなってしまうために
さかのぼって認められても、最大で5年分までしかもらえません。

しつこく言いますが、この初診日から1年6ヶ月時点というのは原則であり
例外がありますので、注意が必要です。例外については後に書きます。


何故? 初診日から1年6ヶ月時点を一つの判断の基準日とするのか?
について、疑問を持たれる方が、いらっしゃいます。

これは1年6ヶ月程度、経過するとおおよそ病状が安定すると
国が解釈している、様子見の期間と考えられて結構です。
健康保険の制度で病気やケガでお仕事が出来ない場合に
傷病手当金という、給料の約6割の生活保障を受けられる制度があります。
この手当金がもらえるのが、1年6ヶ月までであり、それ以降は打ち切りになります。
では、その後どうするのか? という所で、障害年金の請求をしてもらうという形で
健康保険の傷病手当金と障害年金の制度はリンクしています。
詳しくは書きませんが、労災での保障でも1年6ヶ月で支給される保険給付が
変更になる場合があります。これも、やはり1年6ヶ月でリンクしているのです。

こう考えて下さい。
健康保険は、プライベートのケガや病気の保険
労災保険は、お仕事絡みでのケガや病気の保険
障害年金は、プライベートやお仕事等の病気やケガの原因に関わらず
障害状態が継続した場合の保険 だと。

つまり、同じケガや病気であっても、各々の法律と言う選手が
守っている守備範囲が違っているが、各々のフィールド外の保障は
別の選手(法律)にお任せしているというイメージで結構です。


今回のポイント

障害認定日請求とは、原則として初診日から1年6ヶ月時点の
心身の状態を診断書等で証明して、その時点で障害状態に
該当するか、否かを審査してもらう障害年金の請求方法である!


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第12回 障害認定日とは?

今回は、障害認定日についての説明です。


簡単に言いますと、心身の状態が障害年金で定める障害等級に
該当するか否かを判断する日ということです。

ですから、この時点の診断書を主治医に作成してもらって、
その時点の心身の状態がどうだったのか?を証明しなくてはなりません。


原則的には、初診日から1年6ヶ月経過時点になります。
(初診日が起点になりますので、初診日を確定させることはココでも必要です。)
但し、1年6ヶ月経過しなくても心身の状態が固定化して、
現状では良くも悪くもならないだろうと判断された場合には
その症状が固定した日が、障害認定日になります。
症状の固定についての判断は、主治医がされることになりますが
一つの考え方としては、肢体の障害等の場合ですと
身体障害者手帳の交付の申請をする時点を固定した日と考えられる医師がいます。

1年6ヶ月経過する前に症状が固定した日があれば、その日と
例外的な扱いをご紹介しましたが、面倒なことにこの障害認定日にも
その他にいくつか例外的な扱いをするものがあります。

でも、一度に紹介すると混乱しますので、いずれ例外的なものを
ご紹介することにしますが、もう一つだけよく出てくる例外的な
扱いをご紹介します。これは重要です。

障害年金では、障害の原因を問いません。交通事故や労働災害で
後遺症として障害が残った場合もあれば、先天性の障害の場合でも
請求して、認められれば障害年金をもらうことが出来ます。

例外というのは、主に先天性の障害について適用されることが多く、
20歳前に上記の初診日から1年6ヶ月時点(又は症状固定日)があれば、
障害認定日を20歳になった日とするという例外です。
もちろん、先天性の障害以外でも20歳前に障害状態になれば
この例外が使えることがあります。

これは国民年金の場合には、20歳にならないと年金制度に
加入することが出来ないので、障害年金を出すわけにはいかないという理屈です。
ですから、20歳時点を障害認定日とする扱いは、国民年金だけの場合です。
厚生・共済年金は、中学・高校を卒業して、就職すれば加入出来ますからね。

今回は、ここまでで次回に続きます。


今回のポイント

・ 障害認定日とは、心身の状態を判断する日である。


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2012年7月17日火曜日

第11回 初診日とは?

我々が年金の相談を受ける際には、出来るだけ専門用語を使わないようにしています。
他の言い回しで説明できるものについては、言い方を変えるのですが
どうしても、元々の専門用語というのは名前が決まっているので、
専門用語を使わざ得ません。そこで、障害年金で出てくる用語を見ていきます。

・ 初診日
  この用語が、通常使われる意味とは大きく異なりますので、注意が必要です。
  通常は、ある病気でその医療機関にかかった最初の日をさしますし、
  風邪でかかっていた場合、お薬を3日分もらって帰って、それから1週間程
  病院に行かなかったら、一度治ったものとされ、また初診日とみなされて
  初診料を支払わなくてはいけません。これは我々が日常的に経験していることです。


  しかし、障害年金での初診日とは、障害の原因となった傷病を発症し
  初めて医師の診察を受けた日という意味です。
  具体的にお話しますと、例えば現在の病気で障害年金で請求する傷病はうつ病です。
  でもうつ病の場合には、多くの場合は精神的な病気であると分からずに、
  専門の精神科や心療内科等のメンタルヘルスを扱う診療科を受診されていないことが
  多く、頭痛や不眠,腰痛,吐き気等々の様々な身体症状のために
  内科や外科、或いは更年期障害と思われて産婦人科等を受診されます。
  ここでうつ病の症状が出ているので、この頭痛等で最初に医療機関で受診した日が
  障害年金でいう初診日となります。

  ですから、今かかっている医療機関に最初からかかっているという方は簡単ですが
  かなり前にかかった病院がそれにあたる場合には、いつ頃症状を感じたか、
  病気が分かったか、ケガをしたかを考えたうえで、初診日がいつなのかを
  決めなくてはいけません。

  
  それから、初めて医療機関にその症状が出てからかかった日と言いましたが
  そのかかった病院で、例えば違う病名を言われたり、病名が確定出来なくても
  そこでついた病名が、今の傷病名と関係するものであれば、病名にこだわる
  必要はありません。このあたりも、実は難しい点です。

  この障害年金で言う初診日の意味をよく理解されていない医師がいますので、
  診断書等の書類を作成してもらう際には十分ご注意下さい。


  また前にお話しました通り、法律ですから例外的なものがいくつかあります。
  上記のものは原則ですので、いずれ例外的なものもご紹介していきます。
  一度に何でも言うと、かえって分かり難いでしょうし、何でもそうです。
  原則あっての例外であり、基礎あっての応用です。

  ゆっくりマスターして行きましょう。


今回のポイント

・ 障害年金で言う“初診日”とは、通常使っている
 “初診日”とは意味するものが違っている!


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2012年7月16日月曜日

第10回 障害年金の請求の種類と仲間たち

今回は、障害年金の請求の種類と仲間たちという内容です。
少しずつ難しくなりますので、1回分だけ読まれても分かり難いかもしもしれませんが、
読み進めていけば、話がつながっていきますので、前後のブログをお読み下さい。

障害年金の請求代行業を行う社会保険労務士がいるように
実は障害年金の請求は、ケースによって難しくなります
そのケースとは、個人個人の状況によって異なりますので、
請求が簡単な場合もあれば、複雑で手間ヒマかかるような面倒な場合があります。
それは、以下のように障害年金の請求の方法がいくつもあるからです。

1 本来支給の障害年金の請求パターン
このパターンの請求は、いわば原則的なパターンで一番簡単なものです。    
障害状態を判断する(診断書を書いてもらう)時期が、障害認定日という
基準点(通常、初診日から1年6ヶ月時点)のものです。

2 事後重症の障害年金の請求パターン
このパターンの請求が、一番多いパターンです。障害状態を判断する時期が
障害認定日ではなく、現在であるというものです。1の原則では請求出来ない
そういった場合の請求で、具体的には障害認定日には障害状態が障害等級に

該当しない程度で軽くて、後に重くなったという場合や、障害認定日時点では
ちょうど通院していない、もしくは検査等をしていないためにその時点での
診断書が書いてもらえない場合になります。

既に障害認定日を過ぎていて、診断書に障害認定日の時点と現在の時点での
心身の状態を書いてもらって、2の請求と同時に1の請求も行う事が実際には
多くて、その際に前の障害認定日時点で障害等級に該当すると認められれば、

過去5年間までは、さかのぼって障害年金をもらえることが出来ますし、
障害認定日時点では認められない場合には、さかのぼってはもらえません。

この事後重症というパターンの場合には、65歳の前日までに障害状態に該当
しなくてはいけないという年齢制限があります。

3  基準障害での障害年金の請求パターン
これは複数の傷病があった場合に、それぞれでは障害年金で定める障害等級に
該当しない状態であるけれども、身体全体の状態を考えれば障害等級に該当する
という請求のパターンで、やはり2同様に65歳の前日までに、という条件がつきます。

4  20歳前障害での障害年金の請求パターン
20歳になる前の年金制度に加入していなかった時期に、初診日があって
障害等級に該当する障害状態である場合の請求パターンです。
この請求パターンがあるのは、障害基礎年金だけで障害厚生・共済年金では
ありません。障害基礎年金独自のものということです。

この請求で大変なのでは、過去にさかのぼって請求するので色々な証明を行うことです。
どうしても、請求するのに手間jヒマかかります。

代表的な障害年金の請求パターンを見てきましたが、実は他にもいくつかあります。
非常にレアな請求のパターンであり、年金の法律の過去の改正と大きく絡んでいます。
要するに、改正により不利にならないような配慮から、いくつかの請求パターンが
存在しているということです。

但し、1~4以外の請求に該当する方は実際には少なく、それを知っておく必要は
普通はありません。そこまで話が進むと難しくなりますからね。


最後に障害年金の仲間たちについて

障害年金をもらえないような場合に、障害年金の仲間と言いますか
関連したものがもらえます。簡単に概要だけ、ご紹介します。

1 障害手当金
初診日から5年以内に、傷病が治り(症状が固定化した等)障害年金での
障害等級3級よりも軽い障害状態である場合にもらえます。
年金ではなく、一回ポッキリの一時金になります。

2 特別障害給付金
これは専業主婦や学生の場合には、以前の法律では国民年金に加入するのも
現在のように義務ではなく、任意加入でした。ですので、加入が義務付けられた
以前の専業主婦や学生では、年金の保険料を一定分納めたという条件を満たさず
障害年金がもらえないので、障害年金よりも支給額は少ないのですが支給されます。
但し、これは障害基礎年金との関連から、障害状態が1級・2級程度の方に
限られるものです。

少しずつ、難しくなってきましたので、次回は障害年金の話の中でよく出てくる
専門用語についての説明を行います。


今回のポイント
・ 障害年金には請求方法がいくつもある!
・ 障害年金がもらえなくても、もらえる(仲間)がある!

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2012年7月15日日曜日

第9回 障害年金の種類

今回は、障害年金の種類についてです。

障害年金には、3つの種類があります。
障害基礎年金・障害厚生年金・障害共済年金です。

これは、初診日にどの年金制度に加入していたかによって分けられます。
普通の保険で考えると、どの保険会社に入っているのか?
というイメージです。しかし、分かり難いのは障害基礎年金です。

障害基礎年金だけもらう人と、障害基礎年金と同時に障害厚生年金や
障害共済年金をもらう人がいます

国民年金というのは、国民が一定年齢であれば必ず加入することに
なっています。ですから、お勤めをされている方も勤務先で
厚生年金や共済年金に加入していても、同時に国民年金にも加入しています。
自動車保険に例えると、国民年金が自賠責保険であり
厚生年金や共済年金が、その上乗せ部分の民間の保険会社の保険
という風に考えるとイメージ出来るのではないでしょうか?

ん? 国民年金には、上乗せ部分はないのか?と言いますと
国民年金基金というのがありますが、障害年金では直接関係ありません。

では話を戻して、障害基礎年金だけをもらえる人とそうでない人がいる
と言いましたが、具体的に見ていきます。

障害基礎年金では、障害等級は1級と2級があります。
対して、障害厚生年金・障害共済年金では3級もあります。
つまり、障害厚生年金や障害共済年金の方が、保障の幅が広いわけです。
そして、この1級・2級という障害等級は、障害基礎も厚生・共済も同じです。

そのため、障害厚生年金・共済1級・2級に該当する障害状態であれば、
同時に国民年金にも加入している形になっているので、
障害厚生・共済年金の1級・2級分と障害基礎年金の1級・2級分がもらえます。
でも、初診日に国民年金の人の場合には1級・2級に該当しても
国民年金に入っている人は、厚生・共済年金には入っていないので
障害基礎年金の1級・2級しかもらえませんので、
障害年金の1級・2級と言っても、障害基礎年金単独での1級・2級と
障害基礎+障害厚生・共済年金での1級・2級ではもらえる額が大きく違います。

不公平に思えるかも知れませんが、実は厚生年金や共済年金に
加入している方の方が保険料を国民年金の方よりも支払っています。
(もっとも、支払っている保険料の半分は事業所側が支払ってくれているので

 お勤めされている方は、その点では有利と言うか、優遇されていますよね。)

最後に、障害厚生・共済年金の障害等級には1級から3級まであると
前に書いています。もし、3級の障害状態の場合にはどうなるのでしょう?
そうです。障害基礎年金では、1級と2級だけしかありませんので、
障害厚生・共済年金の3級部分だけの支給になります。
障害基礎年金が、こちらにはつきませんので1級・2級と比べると
やはり、金額的には少なくなってきます。
もちろん、障害基礎年金だけしかもらえない初診日に国民年金の方は
障害基礎年金では、1級と2級しかありませんので、
障害状態が3級であると判断されれば、残念ながら何ももらえません。

今回のポイント

・ 1級・2級の場合には、障害基礎年金だけもらう人と
  障害基礎年金と障害厚生、又は障害共済年金を 同時にもらえる人がいる。
・ 3級の場合には、障害厚生年金、又は障害共済年金しかもらえない。  

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2012年7月12日木曜日

第8回 年金保険料の未納問題

前回、年金の概略をお話しましたので、
今回は横道にそれて、年金の保険料の未納問題について。

年金の保険料の未納問題について、マスコミは強調して報道します。
納付率は、約6割を切るという、この数字だけが皆さんの頭に残ります。

しかし、これはあくまで国民年金の保険料の納付率です。
お勤めされている方の厚生年金や共済年金の保険料の納付率は
含まれておらずに、年金制度全ての年金保険料の納付率ではありません。
近年、景気の悪化で自営の方は減少傾向にありますし、
お勤めされている方の方が、圧倒的に多いというイメージは持たれるでしょう。
年金制度全体で見た場合の年金保険料の納付率は、9割以上あります!


国民年金と言うと、前回書きましたように自営業者や専業主婦・学生
或いは、お仕事を辞められて求職中という方ですね。
専業主婦の場合で、配偶者が事業所等に勤務して扶養に入っていれば
自ら、保険料を納める必要はありませんが、
その他の国民年金の方を考えるとどうでしょう?
現在のように景気が悪いと、自営業の方も生活が厳しいし
お仕事を辞められて失業中の方が保険料を納めるのはキツイ。
健康保険の保険料を、もしケガや病気になったら・・・と
どうしても年金の保険料よりも優先します。

すると、やっぱり国民年金の保険料の納付率は下がってしまいます。

国民健康保険の保険料と言うのは、前年の所得に応じて
保険料が設定されますけれど、国民年金の保険料は一律
いくらなんですからね。現在、約1万5千円ですが、やっぱり
毎月支払うとなると、負担になるのは間違いありません。
(そのために、国民年金では免除制度があって、申請すれば
  保険料は一定割合、安く納めることが出来ますが、
  当然、満額納めるのと比べると、マイナス面があります。)

社会保険の財源不足が叫ばれており、その中で深刻なのが
健康保険の財源であり、中でも市町村が運営する国民健康保険は
本当に厳しいのです。

だって、市町村の運営という器は大きいのですが
国民健康保険には、定年で会社を退職した人等がどんどん入ってきて
市町村に保険料を納めた実績が少ないにも関わらず、
年齢的に医療機関に受診する率は、多くなるわけですからね。

このように、器を大きくすると対象者が広くなって
例えば、所得にしても高い人から低い人まで幅がでるために
全体数を分母、保険料を納付している人を分子とすると
どうしても、保険料の納付率は下がってしまいます。


また、厚生年金や共済年金のように、給料から毎月天引きされる
という事が、国民年金の場合には出来ませんので、
これが国民年金や国民健康保険の保険料の納付率が低い理由の一つです。
税金の徴収等も、似たような感じです。

話を戻します。


今回のポイント

・ 年金制度全体の納付率はまだまだ高く
 
 年金制度は厳しいながらも、崩壊はしない。



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第7回 年金の概略

まだまだ障害年金には、たくさんの誤解がありますが、
それは後々、必要に応じてふれるとして先に進みましょう!

今回は、年金の概略についてです。
前に書きましたように、法律にはたくさんの例外がありますので
何も書いていない場合には、原則の話だと思って下さい。

年金制度は保険制度である!というのは、前に書いた通り
考え方としては、民間の保険と同じです。
ただ、保険の管理運用をするのが、国が行っていて
そのために、強制的に加入しなければならない人もいて
その人達は、保険料を月々支払って
支払いの対象となることが生じた場合に、
年金という保険給付を受けることが出来る、ということです。


では年金を現在を横軸とし、時間の経過を縦軸で見ます。

横軸は年金の種類です。お分かりのように3つあります。
公務員の方が入っている共済年金
主に民間の事業所に勤務される方が入っている厚生年金
そして、自営業の方や学生・専業主婦が入っている
国民年金、ということになります。


では、縦軸を見ていきます。
年金には大きく2つに時間の経過により分けられます。

それは昭和61年4月で区切られます。
今の年金制度が昭和61年4月以降のもので、
新法と呼ばれますが、書籍やブログ,年金事務所等の
窓口で言われること等、特に何も書かれていない
或いは言われない場合には、この新法の話です。

昭和61年3月までのものを旧法と言います。

この新法と旧法という年金制度(法律)ですが、
実はこれが全く同じ年金制度ですが、
中身が異なるから、これまた面倒なんです。

まぁ多くは新法の適用になることが多いのですが
やはり、中には旧法の適用になる人もいます。
それは老齢年金だけでなくて、障害年金も同様です。

もう一つだけ、年金の対象をみましょう。
年金の対象とは、どういう場合に年金が出ますか?
という保険給付の対象です。

これは、そうです。
ある年齢になればもらえる老齢年金
一定の遺族になればもらえる遺族年金
そして、障害状態になった場合にもらえる
障害年金、の3つということになります。

欲張らずに、今回はココまでにしましょう。



今回のポイント

・ 国民年金・厚生年金・共済年金の3つがある。
・ 新法と旧法という2つの年金制度がある。
・ 年金の対象は、老齢・遺族・障害である。



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2012年7月11日水曜日

第6回 年金制度ですが・・・

障害年金は、年金制度です。年金というのは、保険制度ですので、
保険料を支払って、保険給付の対象となる事故が生じた場合に
予め、定めてある保険給付が受けられるというもの。

そのため、障害年金を受けるための条件に
・ 初診日に年金制度に加入している
・ 年金の保険料を一定以上、納めていなければならない

といったものがあります。火災保険・自動車保険等、
民間の保険を考えれば、当然のことでしょう。

しかし、障害年金では上記の条件が満たされなくても
もらえるような場合があります。

法律の例外的な規定によるものです。何でも白か黒,
或いは〇か、×の二者択一で明確に分かれていれば
そこにルールを定めるのは簡単です。
「〇〇は×であり、△ではない」と定めればいいのですから。
ところが、ルールを定める際に、どうしても例外が出てきます。

そして、一つ例外を作るとどうでしょう? 一つでは収まりませんし
例外的に扱うけれども、その例外で定めたことがもし
△△の場合には、原則通りのルールで扱うなんてこと、ありますよね。


実は、法律で定められている障害年金にも
このような例外がたくさん、あります。

でも、多くの場合には原則的なお話しかしませんし、
原則的なことしか、ブログや書籍では扱っていません。
何故ならば、話が複雑になって、かえって分かり難くなるからです。
そのため、原則的なことのみで判断されると
本当はもらえるのに、もらっていない
と言ったパターンも実際にあるわけです。


上記の保険料の例外を一つだけ、例に挙げますと
20歳前に障害状態になった,障害状態だったというのが
保険料を納めていなくてももらえるようなパターンです。
何故? 保険料の納付が問われないか? と言えば
20歳前では国民年金に加入義務がないからです。

但し、これにも例外があります。例外の例外ですね。
20歳前に障害状態であったとしても、中学や高校卒業後
事業所等に勤務して、厚生年金や共済年金に
加入していた場合には、保険料の納付が問われます。

このように、年金制度は非常に複雑です。

少しずつ、分かって頂ければ、と思います。



今回のポイント

 年金制度であるが、障害年金では保険料を
   納めてなくても、もらえる場合がある!

・ 法律には例外もあれば、その例外の例外もある!



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2012年7月10日火曜日

第5回 障害者手帳〇級だから・・・

前に書いた通り、障害年金の受給に身体障害者手帳等を持っている
と言った条件はありません。身障者手帳や療育手帳等については
あくまで、障害年金の審査の際の参考にされるにとどまります。

・・・と言うのも、身障者手帳等の障害等級と障害年金での障害等級は
その各等級ごとに定めた障害の状態が異なるからです。

これは手帳に限らず、労働災害(労災)での後遺症としての障害や
自動車事故の自賠責保険や民間の保険等、
他に障害等級を定めているものとも、全く違います。
それは、各々がその目的にそって定めているからです。

身障者手帳1級であれば障害年金も1級もらえるとか
手帳では3級以上にならなかったので、3級までしか障害等級のない
障害年金はもらえない、等という誤解はよくあります。

障害等級1級という呼び名が同じであれば、それも仕方ないことです。

このように、手帳等と障害年金はリンクしていません。
もし、手帳での障害等級と障害年金の障害等級が同じであれば
何も、わざわざ別々に診断書を提出させる必要もないでしょうし
手帳のコピーだけ、障害年金の請求に添えれば済む話ですが
そうではないわけです。

・・・となると、手帳等を持っているから安心ということでもなく
手帳を持っていないから、障害年金を請求してももらえない
というわけではない! ということです。

但し、身体障害者手帳1級とか、2級を持っているという人は
それだけ、障害の状態が重いという事ですから、
間接的には、請求すればもらる可能性が高いのは事実です。



今回のポイント

・ 身体障害者手帳等は、障害年金においては
  あくまで参考であり、手帳等の障害等級が
  障害年金の等級ではない!



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第4回 役所窓口が言われるのが正しいのか?

さて、前回医者が言われることが必ずしも正しくないと書きました。
まだまだ、医者には障害年金についての誤解が多いようですが、
それについては、また書く機会があるかと思います。

今回は、実はこれが一番 問題あるのかもしれない! という話です。

障害年金というものを誰かに聞いて、もらえるものであれば
もらいたいけれども、果たして全くどういうものか?
分からない、というのがほとんどの方の正直なところでしょう。
だって、年金なんて言うと歳とってからもらう老齢年金の
イメージしかないんですからね、仕方ありません。

では、障害年金について聞きたい! 相談したいと思った場合
まず、どこに行って、誰に聞かれますか?
最初から、我々のような障害年金を扱っている社会保険労務士に
相談・依頼される方は残念ながら、ごく少数です。

最初は、自営業や専業主婦の方はお近くの市役所で
お勤めされていて厚生年金の方は、年金事務所で相談されるでしょう。
国民年金の場合には市役所が,厚生年金の場合には年金事務所が
年金の手続きの窓口になっているからです。

しかし、実はココに思わぬ落とし穴があります。

・・・と言うのは、実は市役所等の窓口の方も障害年金に関しては
あまり詳しくないのです。考えてもみて下さい。
市役所等では、数年に一度異動があってぞの道のプロは
いないわけですし、結局は日本年金機構に書類を渡すだけの
受付をしているような感じですから、詳しい筈がありません。

実際に、「××では障害年金はもらえない!」と言われた依頼者で
私が請求した結果、2級で5年もさかのぼってもらえたために
一度に数百万円、もらえた方がいます。

また、年金事務所でも障害年金に詳しい方は少ないのが現状です。
それは何故か? と言いますと、年金の相談や手続きで
年金事務所に行かれる方の約8割が老齢年金についてであり
障害年金の相談・請求と言うのは全体的には少ないわけです。
これまた実際にあった話ですが、
「寝たきり状態でないと、障害年金はもらえない!」などと
全くの間違いを窓口で言われたという方もいます。


ですので、前回書いた医者や市役所・年金事務所の窓口の方も
誤解や、思い込み等で明らかに間違ったことを言われることがあるので
注意が必要です。・・・と言っても、医者や市役所等の窓口職員から
言われると、普通は「そうなのか」と信じてしまいますよね。
でも、実はそうではないわけです。

医者が、「今の状態では障害年金等はもらえない!」と
言われた方でも、診断書作成のために(他にも理由がありましたが・・・)
別の医療機関に転院し、診断書を書いてもらって請求したら
2級の障害年金をもらえたこともあります。


こういうことが、まだまだ実際にあるから
障害年金について、我々社会保険労務士は正しい情報を伝え、
その相談に耳を傾け、請求のお手伝いをしなくてはならないのです。


今回のポイント

・ 相談先である市役所・年金事務所の
  窓口職員が言われることも、
  100% 正しいわけではない!




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2012年7月9日月曜日

第3回 医者が言われるのは正しいのか?

第3回目は、果たして医者が言われるのはどうか? という話です。

病気・ケガのことは先生(医者)にお任せしているので、先生の云われる通り
と普通の方は思われます。身体障害者手帳のことは先生から言われたので
申請をして、無事に手帳をもらうことが出来たけども、障害年金のことは
先生は言われないので、請求しても無理だろうか? と誰もが思うところです。

また障害年金のことを聞いてみたら、「今の状態では請求しても
もらえない」と言われた、という方もいらっしゃいます。

これらが正しいのか? と言いますと、答えはノーです。

まず、手帳に関しては認定医制度と言って身体障害者手帳の障害等級に
ついて勉強をされた認定された先生しか、申請の際の診断書を書けません。
障害年金の場合に請求する診断書は誰でも医師であれば書けますが
身体障害者手帳の場合には、元々勉強された方のみしか書けないのです。

そして、手帳の場合には申請書に何級に該当していると思われると
書き込む欄があって、大体申請を行うとその障害等級になります。
診断書を書かれる先生が、その制度のことを知っているわけですからね。
それに対して、障害年金では認定医制度ではありませんし、
障害年金について勉強をされている先生はいませんので、
少なくとも先生の方から、積極的に障害年金の請求の話を
されることはないわけです。

では、次の障害年金にについて先生に相談したけれども
もらえないと言われたという話についてはどうか?

これを言われた理由については、色々と推測されます。

経験上、言われているというのが多いのかもしれませんが
障害年金には1級から3級まで障害等級がありますし、
さかのぼってもらえる場合やさかのぼってもらえずに
今の状態でしかもらえない場合もあります。

先生は患者が障害年金の請求をしても、その結果を
本人、もしくは親族等から聞くことでしか、分かりません。
ですから、患者側が何級がもらえた? 何級がもらえなかった?
さかのぼっては認められなかった、等と言うのであれば
正しくその結果が把握できるかと思いますが、
どうでしょう? もらえた,もらえなかった程度しか言われない筈です。

それと先に書いた認定医制度ではないので
診断書に何級に該当する等と書く欄はありません。
あくまで、診断書や本人が書いた申立書、その他の資料をもとに
最終的な判断を行うのは、それらの提出先である
日本年金機構(国から年金について事務委託されている)や
共済組合なのです。ですから、先生がもらえる,もらえないと
断定は出来ない筈ですし、言われたことが正しいとも限りません。

実際に医者が「絶対にもらえない!」と言われたけれども
請求をしてみたら、2級がもらえたというケースもあります。


今回のポイント

・ 医者が障害年金について話すことが全て
  
 正しいとは限らない!


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第2回 他人の話は・・・

第2回目は、他人の話はどうなの? という話です。

最近は個人で自由にブログを誰でも書いて、自由に第三者が見れるので
ネット等でも、色々気になる情報は入手できる、便利な時代になりました。
但し、注意すべきなのは、その情報の利用については
あくまでも、その情報を入手した人,利用した人の自己責任だと言うことです。

Yahoo! の知恵袋に代表されるように、簡単に何かについてネット上で
質問をして、第三者からの答えやアドバイスを入手出来ますし、
質問しなくとも、気になることをキーワードで検索すると、それについて
書いた記事やブログ等も見ることが出来ます。

しかし、障害年金に関して言いますと、他人の話は参考程度
聞き流して、自分の場合はどうなのか? と考える必要があります。
他人の話を、そっくりそのまま自分に置き換えて
特に障害年金がもらえる,もらえないとか、何級がもらえる等と
思ってはいけません。

それは何故か? 障害年金という障害を扱った年金制度だからです。

その障害の原因が自分と全く同じ病気やケガであっても
自分と同じような状態であるか? どうかについては
単に病名等をブログ等に書かれているものを読んでも
全く分かりません。これが内科系の病気で検査数値等も
書かれているとか、腕を切断しているとか
客観的にその障害の程度が誰が見ても分かる状態で
それをそのまま書いてあるのであれば別ですが
多くはそうではない筈です。

それに障害の状態が仮に同じとしても
では? 発病日や初診日は? いつ頃,何歳で発病し
その時の年金制度への加入はどうだったのか?

そして、では今までの年金の保険料の納付状況は?
現在の年齢は? 加算の対象者がいるかどうか?
お仕事をしているかどうか?

等々、これらが全く自分と同じ人はいません。

何故ならば、現在のあなたはあなたの人生を過ごしてきたからです。

年金は、その人が今までどのように生きてきたか?
現在、どう生きてきたのか? に大きく関係します。

これ以上、詳しく話すと長くなるので止めますが
要は一人一人で、状況が違うわけです。


今回のポイント

そのまま他人の話をそのまま自分と
置き換えても、それが正しいとは限りません。
あなたには、あなたの状況に応じた
請求等についての検討が必要なんです。



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2012年7月7日土曜日

第1回 障害者年金ではなく、障害年金

今日から、出来るだけ順序立てて障害年金について書いていきます。
特に熊本の方で、障害年金の請求を検討されている方は、ご参考下さい。

まず、障害年金の概略的な話から進めていきますが、
最初は障害年金に関する様々な誤解のお話を数回に分けてしていきます。


第1回は、障害者年金ではなく障害年金という話です。

障害年金をもらっている人でさえ、「障害者年金」と言ったり
書籍やネット上でも、「障害者年金」と書かれているものを見ますが
「障害年金」が正しく、「障害者年金」というものはありません。

障害年金とは、障害者に対する年金という意味ではなく、
障害状態にあって、日常生活やお仕事をするうえで支障があったり
何らかの制限等がある方に対する生活保障制度なんです。

障害者に対する年金ではない! と書きましたが、障害手帳等を
持っていなくても、障害年金制度は利用できるということです。

また、「障害者」と聞くと肢体の障害等、我々が一見して
お身体の具合が悪い方をイメージしますが、
目に見える障害だけではなく、精神的な病気等の場合でも
日常生活やお仕事に支障があれば、その対象になります。

但し、ぶっちゃけた話をしますと・・・
あくまで、言葉のイメージの話なんです。

つまり、上記のような生活上やお仕事を行ううえでの
支障や制限を「障害」という言葉で表わしているのであり
支障や制限がある方を、本来は障害者と呼んでいるわけです。

でも、イメージって強いもので、障害者という言葉からは
やっぱり、車椅子を使っている、手話で会話している
そういうイメージを持ってしまうものです。


今回のポイント

・ 障害年金は、身障者手帳等を持っていなくても
 対象になって、もらえることがある!
・ 心の病でも、もらえることがある!


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2012年7月6日金曜日

アスペルガーでは、障害年金はもらえない?

次回から、順序立てて障害年金についてお話していきますが
今回は、プレ・リリース版と言いますか、テスト投稿になります。


「アスペルガー症候群では、障害年金を請求しても
もらえないので、請求してもムダだよ」

このように言われる医師がいるが、
障害程度を実際に判断する際に、現場が用いる
障害認定基準には、次のように書かれている。

自閉症・アスペルガー症候群、その他の広汎性発達
障害・学習障害・注意欠陥多動性障害、
その他これに類するものについては、
例え知能指数が高くとも
社会行動コミュニケーション能力の障害により
対人関係や意思疎通を円滑に行えないために
日常生活に著しい制限を受けることに着目し判断する。

日常生活能力等の判断においては、身体的機能や精神的機能を考慮し
社会的適応性の程により判断する。

就労支援施設や小規模作業所等に参加する者に限らず
雇用契約で一般就労をしている者でも、単に労働している
そのことをもって、直ちに日常生活能力が向上したとは
とらえずに、仕事の内容・種類,就労状況や職場での
援助の内容や、他の従業員との意思疎通の状況等を
十分確認したうえで日常生活能力を判断する。
(原文を読みやすく、変更しています。)

つまり、アスペルガー症候群だから・・・
自閉症だから・・・   学習障害だから・・・
と病名によって、障害年金の支給・不支給が
決定されているのではなくて、あくまで日常生活や
就労上の支障が判断基準になっている。

もっとも、判断基準は診断書では読みとりにくいので
実際に障害年金を請求する際には、
自分で作成する自己申立書での自己申告が重要になっている。

まだまだ、残念ながら医師の理解が得られていない
そのような現状があるので、もう少し医師の方も
患者の経済的支援についての配慮をお願いしたいところです。


なお、この障害年金の判断基準ですが
今回、取り上げた発達障害に限らずに
具体的に、どのような病気やケガでどこが
どのようになっている、と事務所ホームページより
ご連絡頂ければ、必要な個所を無料でお渡ししますので、ご連絡下さい。



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熊本で障害年金の相談・請求代行をやっています。

熊本の社会保険労務士(社労士)です。今日から、こちらでブログを開始します。
既に、アメーバでブログを書いていますが、こちらでもいよいよスタートです!
内容は、主に障害年金に関することです。

病気やケガ等の障害で、お仕事が出来ないとか、日常生活に困っているので
障害年金を検討されている方等は、是非、ご参考下さい。


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社会保険労務士 松永忠昭